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andymori 『ファンファーレと熱狂』 (2010年)

ファンファーレと熱狂

ファンファーレと熱狂

[総評] andymoriは2007年に結成されたロックバンドで、2008年10月に1st EP『アンディとロックとベンガルトラとウィスキー』でデビュー。2009年2月にリリースされた1stフルアルバム『andymori』を経て、リリースされた2ndフルアルバムがこの『ファンファーレと熱狂』です。2011年1月に「第3回CDショップ大賞」で大賞を受賞するなど、音楽ファンの間でも高い評価を得た本作ですが、その後3枚のフルアルバムをリリースし、2013年9月24日に日本武道館ライブをもって解散すること発表したものの、ボーカルの小山田壮平氏が7月4日に河川に飛び降り重傷を負ったため、現在は完治を目指してリハビリに励んでいる、という状況です。このまま解散してしまうのか、と思うと非常に残念ですが、ひとまずはリハビリを終えて復帰することに期待しつつ、andymoriとして発表した6枚のアルバムを聴いて待つことにしましょう。閑話休題、この『ファンファーレと熱狂』ですが、実を言うと筆者は先述の飛び降り事故のニュースでandymoriに興味を持った人で、その際に当時気になっていたバンド数組とまとめてTSUTAYAでレンタルしてきて音源を取り込んでそのまま好きな曲だけヘビーローテーションしていた…というような無様な聴き方をしておりまして、恐らくアルバム全曲を通して聴いたのは今日が初めてだったのではないかと思います…。全曲通して聴くとすごく上手に緩急が付けられていて最初から最後までスッと聴けます。それは勿論、アルバム全体の収録時間が全13曲で40分弱という短さもあると思いますが、やはり曲順が絶妙でアップテンポな曲とバラードの曲をうまく配置してあるので途中で聴き疲れることもありません。また、andymoriの魅力は個人的に何と言っても小山田壮平氏の声だと思います。少年のような高くハスキーな声ですごく好きです。あとは歌詞。歌詞がメロディに乗っているのではなく、メロディが歌詞に乗っているという感じで洋楽のような聴こえ方になっています。音自体は底抜けに明るくて80年代頃の洋楽に影響を受けたようなサウンドなんですが、歌詞がどことなく哀愁や郷愁を漂わせる内容になっていて、思春期に誰もが感じたようなあの不安定な気持ちというか、過去への憧憬を感じさせれられます。特に「1984」や「16」は胸に迫り来るほどのノスタルジーに襲われます。思春期を終えて人生の分岐点にこれから立とうとする人、もしくは立っている人の危うい精神状態(混乱、猜疑、郷愁など)を文学的な言葉で風景画のような情景描写で表現したような曲がほとんどなので若い世代の人に特に支持されやすいような気がします。最後にアルバムタイトルの『ファンファーレと熱狂』は1曲目の「1984」からの一節であることを記して終わります。 ★★★★★★ 6

01. 1984
★★★★★★★★✩ 8.5

02. CITY LIGHTS
★★★★★★★★ 8

03. ずっとグルーピー
★★★★★★★ 7

04. 僕がハクビシンだったら
★★★★★★ 6

05. 16
★★★★★★✩ 6.5

06. ビューティフルセレブリティー
★★★★★ 5

07. Transit in Thailand
★★★★★★★ 7

08. クレイジークレーマー
★★★★★✩ 5.5

09. ナツメグ
★★★✩ 3.5

10. バグダットのボディーカウント
★★★★★★✩ 6.5

11. オレンジトレイン
★★★★★✩ 5.5

12. SAWASDEECLAP YOUR HANDS
★★★★★★★✩ 7.5

13. グロリアス軽トラ
★★★★★★✩ 6.5