【CDレビュー】2014年9月発売分
【レビュー済み】
- 2014.09.10 神聖かまってちゃん 「英雄syndrome」
【未レビュー】
- 2014.09.24 赤い公園 「猛烈リトミック」
- 2014.09.24 ねごと 「アンモナイト! / 黄昏のラプソディ」
- 2014.09.24 タルトタタン 「TARTETATIN ARE ALLRIGHT!」
- 2014.09.24 indigo la End 「瞳に映らない」
- 2014.09.24 Chicago Poodle 「Life is Beautiful」
- 2014.09.20 宇宙は11次元で出来ている 「Stand ~ここにいるよ~」
- 2014.09.17 バンドじゃないもん! 「ツナガル!カナデル!MUSIC」
- 2014.09.17 YUKI 「FLY」
- 2014.09.17 TAMTAM 「Strange Tommorow」
- 2014.09.03 ポルノグラフィティ 「俺たちのセレブレーション」
- 2014.09.03 さよなら、また今度ね 「夕方ヘアースタイル」
※原則、入手してから2週間後以降にレビューします。
- 2014.09.10 神聖かまってちゃん 「英雄syndrome」 購入
1. オルゴールの魔法 [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
女性ボーカルがサンプリングされたイントロに、今回のアルバムが今までとは違った趣になっていることを予感させられる。ただ、かまってちゃんお馴染みの無駄に壮大なコーラス隊やどこか切なさを感じるキャッチーなメロディは健在なので、今までの路線を踏襲しつつ、それをブラッシュアップしたような印象。この曲は今作中、一二を争う出来だと思う。
★★★★★★★★☆ 8.5
2. ズッ友 [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
5,963枚限定でリリースされた、通算5枚目のシングル。かなり売れ線に走っている印象。かまってちゃんに対するパブリックイメージを壊そうとしているのが伝わる。ただ、だからといってかまってちゃんらしさが損なわれている、ということはなく、上にも書いた壮大なコーラス隊も、の子らしいキャッチーなメロディも健在。MVはなぜかBLがテーマになっている。せっかく曲はまともなのに勿体無い…。
★★★★★★★★ 8.0
3. ロボットノ夜 [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
配信限定でリリースされた、通算4枚目のシングル。2年前にデモ音源が公開された楽曲のバンドバージョン。CD化される以前からライブで頻繁に披露されていたが、その時点から既に完成されていて最近ではライブでの定番曲となっていた。みさこ(Dr)とちばぎん(Ba)のリズム隊や、mono(Key)の狂ったようにひたすら繰り返される旋律も、どこをとっても演奏うまくなったなあ、と思う。
★★★★★★★★☆ 8.5
4. 新宿駅 [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
MVも制作された今作のリード曲。「サラリーマン応援ソング」的な触れ込みがされていたが、そういった趣旨の曲は以前にも「おっさんの夢」という曲があった。何にせよニートだった頃の鬱屈した気持ちを吐き出していた頃からすると随分成長したなあ、と思う。サビ頭の「ちかれてない」が耳に残るが、これは「疲れてない?」の変化形なのか。最後にサビを繰り返さずにエピローグ的なメロディで締めくくるのが感動的。
★★★★★★★★★ 9.0
5. おかえり [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
バンドが結成されるより前の頃の楽曲のバンドバージョン。最近のライブで何度か披露していたので収録したのだろうが、正直古すぎて流れから浮いているので数合わせ的に収録したようにも思える。2分半あたりから不穏な雰囲気になり、バンドの演奏がフェードインしてくる所からは結構カッコよく仕上がっている。そこ以外は完全にの子の弾き語りになっている。
★★★★★★★ 7.0
6. 背伸び [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
かまってちゃん結成当初からカメラマンとしてバンドのライブを撮影している竹内道宏氏がTwitterで絶賛していた楽曲。バイオリンを導入した厳かな雰囲気のロッカバラードで、これもバンドの成長が感じられる楽曲なのだが…如何せん、の子の歌が曲の雰囲気を壊してしまっているようにしか思えない。こういう正統派なバラードではもう少し歌い方を工夫したほうが良いのでは。歌詞は過去の自分を「背伸び」していたと言っている内容。「消えたいとかさ死にたいとかさ lalala言葉足らずがさ吐き捨ててく」―この一節はまさに成長と言えるのでは。
★★★★★★★☆ 7.5
7. 彼女は太陽のエンジェル [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
全編ラップ調の楽曲。最近のデモ曲でDTMを導入していたのでバンドでもやってみようといった感じで作られたのかかなり実験的なサウンドに仕上がっている。中盤、またもやサンプリングボーカルが入ってくる。ファンの間では高評価のようだが、これはまだまだ遊び曲の域を超えてないなあと。というか、そもそもの子はDTM向いてない気がする。
★★★★★★☆ 6.5
8. ひとりぼっち [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
これもバンド結成以前の楽曲。デモバージョンはアルバム『つまんね』のシークレットトラックとして収録されていた。「おかえり」同様、ライブで何度か披露していたので収録されたのだろう。「おかえり」は古すぎて浮いていたが、これは他の曲と遜色ない出来。うまくバンドバージョンに仕上げられている。ラストが若干クドい気がするものの、バイオリンを導入したアレンジはなかなか良い。
★★★★★★★★ 8.0
9. フロントメモリー feat. 川本真琴 [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
4,946枚限定でリリースされた、通算3枚目のシングル。昨年の夏にデモ音源が公開された楽曲。バンドバージョンとして再録するにあたって、川本真琴をゲストボーカルに招いている。ボーナストラックとしての子ボーカルver.が収録されているので、どちらか片方だけ収録すればよかったのに…と思う。楽曲自体は「頑張れないよ 頑張れないよ」のリフレインが耳に残る、かまってちゃんらしいサマーソング。
★★★★★★★★ 8.0
10. だいじょぶわないじゃん [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
iPhoneアプリで作ったデモ音源のバンドバージョン。原曲はメランコリックな雰囲気の曲だったのを何故かハードロック風のアレンジにしてしまった。これは今作一番の改悪。の子のボーカルも高音域が耳障りでどうしてこうなったとしか。まさにだいじょぶわないじゃんな仕上がり。
★★★★★★☆ 6.5
11. 砲の上のあの娘 [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
昨年1月に発表されたデモ音源のバンドバージョン。元々良曲だったのでバンドバージョンになってもまずまずの出来に仕上がっている。本編最後の楽曲としては無難な出来だと思う。最後のあたり絶叫するパートがあるのだが、本人ですら苦しそうに歌っているのでボイチェン使って正解だったと思う。この曲に限ったことではないが、なぜかアウトロがクドい曲が増えた気がする。
★★★★★★★★ 8.0
12. フロントメモリー (の子vo.ver) [作詞・作曲:の子 / 編曲:神聖かまってちゃん]
ボーナストラック。素直にシングルバージョンのオケにの子のボーカルを乗せればよかったものをイントロをデモ音源のアレンジに近いものにしている上にそのアレンジがこれでCD化しちゃうのかという出来なのでもう少し作り込んで欲しかった。この曲があるので今まで毎回あったシークレットトラックは今回初めて無くなってしまった。にしてもやはりさっきフロントメモリー聴いたばっかりだからやっぱり余計な気がしてしまう。
★★★★★★★★ 8.0
総評: 「神聖かまってちゃんマニフェスト2014」(3月:3枚組DVDリリース、4~6月:シングル3ヶ月連続リリース、8月:アルバムリリース)として今年元日に掲げられたマニフェスト達成を告げるアルバム。実際には8月ではなく9月になってしまったが。全体的に前作『楽しいね』ほどのまとまりはなく、『楽しいね』がほとんど★4つの楽曲で構成されているとしたら、『英雄syndrome』は★5つから★3つにバラけているような印象。簡潔に言えば出来の良い曲とそうでない曲の落差が激しい。ただ、「オルゴールの魔法」や「新宿駅」などで見られた成長は今後の作品にどう落とし込めるか楽しみである。ちなみに今までのアルバムは全て母音が「え」で終わる法則があったものの(『友だちを殺してまで。』『つまんね』『みんな死ね』『8月32日へ』『楽しいね』。本人たちも意識してタイトルを決めていたと発言していた。)、今回初めてその法則が破られた。『syndrome』の「e」を「え」と考えることもできるが。
★★★★★★★★ 8.0