Perfume 全作品紹介【その2・2007~2008『GAME』】
長くなりそうなので分けて書くことにしました。
曲名横の数字は全楽曲リストとしてナンバリングしたものです。通算何曲目の楽曲か、というのを分かりやすくしたつもり。
また、アルバム未収録曲には★印をつけていますので、全楽曲をコンプリートしたい方はそちらを参考にしてください。
(こちらもどうぞ → Perfume 全楽曲リスト - ryo*k901)
(その1はこちら → Perfume 全作品紹介【その1・2003~2006『Perfume ~Complete Best~』】 - ryo*k901)
(その3はこちら → Perfume 全作品紹介【その3・2008~2009『⊿』】 - ryo*k901)
2007年
4thシングル「ファン・サーヴィス[sweet]」
2007年2月14日発売
- チョコレイト・ディスコ [017]
- Twinkle Snow Powdery Snow [018]
【収録アルバム】
・チョコレイト・ディスコ:GAME/Perfume The Best "P Cubed"
・チョコレイト・ディスコ (2012-Mix):Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"
・Twinkle Snow Powdery Snow:GAME
前年の解散危機を乗り越え、リリースされた4thシングル。この2007年はPerfumeにとって大躍進の年となりました。
「チョコレイト・ディスコ」は、今となってはバレンタインソングとしてすっかり定着した、もはや説明不要のディスコチューン。この曲、とにかくベースラインが気持ちいいんですよね…。ラスサビでこそっと全く違うベースラインになるのも高揚感を煽るのに一役買ってて最高。Perfumeブレイクのきっかけとなった楽曲は一般的に「ポリリズム」だと思われていますが、実際はこの「チョコレイト・ディスコ」のMVを偶然見かけた木村カエラが自身のラジオ番組でヘビロテし、その放送をまたまた偶然聴いていたCMディレクターが、あのNHKとACの共同キャンペーンCMのキャラクターに抜擢し…という流れだったことはあまり知られていないはず。そういう奇跡が重なってPerfumeのブレイクに繋がった訳です。
c/w?の「Twinkle Snow Powdery Snow」は前年12月に先行配信されていた楽曲。アルバム『GAME』にも収録されたことから勝手に両A面シングルだと思っていたんですが、ベスト盤『P Cubed』に収録されなかったので、c/w扱い…なのかな…。曲のほうはタイトル通り冬ソング。ブリブリベース音とキラキラしたサウンドは、これぞまさにエレクトロハウス!という感じで直球感はあるのですが、今聴くと少し時代を感じてしまう…。いい曲ではあるんですけどね。どうしても「チョコレイト・ディスコ」に比べるとインパクトが落ちるのは否めない。
(画像をクリックorタップで「チョコレイト・ディスコ」と「Twinkle Snow Powdery Snow」のMVが視聴できます)
5thシングル「ポリリズム」
2007年9月12日発売
- ポリリズム [019]
- SEVENTH HEAVEN [020]
- ポリリズム -extra short edit- ★
- ポリリズム ~Original Instrumental~
- SEVENTH HEAVEN ~Original Instrumental~
【収録アルバム】
・ポリリズム:GAME/Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"/Perfume The Best "P Cubed"
・SEVENTH HEAVEN:Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"/Perfume The Best "P Cubed"
遂にPerfume、ブレイク。結成から8年目、メジャーデビューから3年目のことでした。
表題曲は前述の通り、NHKとACの共同キャンペーンのCMソングに起用され、同時にCMキャラクターとしても大抜擢。筆者も当時そのCMを見て「なんか面白い曲だなー」と興味を持ったのを覚えています。CMソングということもあり、ヤスタカも相当気合を入れて作ったようで、YouTubeにデモバージョンが流出していますが、完成版とだいぶ雰囲気が違っていて、ヤスタカなりに試行錯誤を繰り返して制作したことが窺えます。ちなみにタイトルの「ポリリズム」とは複合拍子のことを意味しており、簡単に言うと複数の異なるリズムを同時に演奏することなのですが、実際に間奏で4拍子に「ポリリズム」という言葉を5拍で乗せることで簡易的な「ポリリズム」を生み出しています。当時まだ中学生だった自分にはかなり衝撃的でした…。そしてこのいわゆる「ポリループ」と呼ばれる部分は、事務所やレコード会社から「音飛びだとクレームが入る」「テレビで披露できない」などと反発されたものの、ヤスタカが直接事務所へ出向き「これぐらいしないとファンは満足しない」「ポリループ部分をカットしたTVバージョンを作るので1曲目はポリループありでいきたい」などと説得し、音源化に至った…という経緯があったこともあり、リリース当時はポリループ部分がカットされることが多かったのですが、2008年の紅白歌合戦初出場時にはポリループありで披露していて感動した記憶があります。ちなみに3曲目の「extra short edit」は一応アルバム未収録曲ではありますが、前述の通りヤスタカが妥協策として制作した、一番おいしいポリループ部分をカットしたバージョンなので聴く価値は正直あまりないです。
c/wの「SEVENTH HEAVEN」はファンの間で根強い人気を誇るミディアムバラード。個人的にはそこまで…という感じなのですが、3人の間でもファン人気が高いことを認知しているのか、リリース当時はそこまで披露していませんでしたが、徐々にライブでの定番曲となっていきましたね。そして「ポリリズム」と同様、『Global Compilation』と『P Cubed』両方のベスト盤に入っていますし、両A面曲に近いような扱いの楽曲。普通にいい曲だとは思うんですが、「Twinkle Snow Powdery Snow」と同じく直球すぎて自分にはそこまで…。歌詞の「ってどんだけ」はIKKOさんのあれです。当時の流行語だったようで、IKKOさんってそんなに前から活躍されてたんだなあーと。あと、これはヤスタカの遊び心だと思いますが、「ポリリズム」と「SEVENTH HEAVEN」をマッシュアップ(2つの曲を組み合わせること)すると違和感のない音源(通称:ポリヘブン)になるというのが当時話題になりました。偶然なのか意図的なのかは不明ですが、本当に違和感がないので聴いたことのない方は是非。
(画像をクリックorタップで「ポリリズム」のMVが視聴できます)
2008年
6thシングル「Baby cruising Love / マカロニ」
2008年1月16日発売
- Baby cruising Love [021]
- マカロニ [022]
- Baby cruising Love ~Original Instrumental~
- マカロニ ~Original Instrumental~
【収録アルバム】
・Baby cruising Love:GAME/Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"/Perfume The Best "P Cubed"
・マカロニ:GAME/Perfume The Best "P Cubed"
前作「ポリリズム」でのブレイクから僅か4ヶ月でリリースされた6thシングル。
両A面1曲目「Baby cruising Love」はシンセベースとピアノの音色が絡み合うミディアムナンバー。「ポリリズム」で興味を持った自分が完全にこりゃいいぞ!となったのはこの「Baby cruising Love」と「マカロニ」の2曲のおかげだったので、ヤスタカやアミューズの策略にまんまとハマってしまった感じがします…。当時のファンの反応はポップスに寄りすぎ…といった意見もちらほら見受けられましたが、ここであえて万人受けしやすい路線に舵を切ったのは成功だったと思います。「cruising」だけに。そのおかげもあってか初のオリコンTOP3入りとMステ初出演を果たしました。Mステでは今では考えられないほぼ生歌の状態で披露していてヒヤヒヤさせられたのを覚えています…。2011年には映画「モテキ」で主人公の森山未來と一緒にパフォーマンスしたのが話題になりましたね。
2曲目「マカロニ」は完全にミディアムバラード。BPM100と発売当時では一番テンポの遅い楽曲でした。本当にヤスタカは「友達以上恋人未満」の関係を表現するのがもはや匠の技とすら思えるほどで、この曲では「これくらいのかんじで たぶんちょうどいいよね」という関係をマカロニの茹で加減に例えるという…これ「スウィートドーナッツ」と同じパターンだな!ライブでは「ファンデーション」や「ジェニーはご機嫌ななめ」などと同じくマイクスタンドを使ったパフォーマンスが印象的。曲だけ聴いているととても切ない曲なのにライブだとたちまち多幸感に満ち溢れた楽曲になるのが不思議。最近あまりやらなくなってしまいましたが、どんどん披露してほしい。Cメロでの転調がまたドラマティックで好き。両A面ということで2019年にリリースされたベスト盤『P Cubed』にも収録されましたが、個人的には隠れた名曲だと思っています。ちなみにMVの4:14あたり(サムネのシーン)でかしゆかが腰にホッカイロを貼っているのが見えちゃってます。必見。それに限らずこの曲はMVと一緒に聴いたほうがより最高なので何にせよ必見。
(画像をクリックorタップで「Baby cruising Love」と「マカロニ」のMVが視聴できます)
- ポリリズム
- plastic smile [023]
- GAME [024]
- Baby cruising Love
- チョコレイト・ディスコ
- マカロニ
- セラミックガール [025]
- Take me Take me [026]
- シークレットシークレット [027]
- Butterfly [028]
- Twinkle Snow Powdery Snow
- Puppy love [029]
【収録アルバム】
・GAME/シークレットシークレット:Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"/Perfume The Best "P Cubed"
・Butterfly:Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"
ゼロ年代の邦楽史に残ると言っても過言ではない大傑作『GAME』が遂に発売されました。2006年8月発売の1stアルバムにしてベストアルバムだった『Perfume ~Complete Best~』から1年8ヶ月、そして結成から8年でようやく完成した初のオリジナルアルバムです。構成としては既発曲5曲に新曲7曲を追加した全12曲なのですが、本当にどの楽曲も素晴らしいし、曲順もよく出来ていて、どこを取っても完璧な1枚。2008年当時のPerfumeが出せる力をすべて出しきったといった感じ。「Take me Take me」や「Butterfly」といった実験的な楽曲もあれば、「GAME」や「シークレットシークレット」のような後にライブ定番曲となるような人気曲もあり、そしてそれらが違和感なく自然に聴けるよう並べられた曲順…。特に「GAME」→「Baby cruising Love」や、「Take me Take me」→「シークレットシークレット」の並びはもはやこれ以外考えられないほど最高の曲順だと思います。2010年7月号の「ミュージック・マガジン」でも2000年代邦楽アルバムランキングで9位に選出されたほか、このアルバムで初のオリコン1位を獲得しました。あとこのアルバム、6曲目「マカロニ」までと7曲目「セラミックガール」以降でA面・B面のような聴き方もできるんですよね。ほんとよく出来てる。
「plastic smile」は、1曲目「ポリリズム」から間髪入れず始まる楽曲。ライブでは自らの身体を操り人形のように動かす振り付けが印象的です。終盤の畳み掛けるような展開が楽しい。個人的にはそこまで…といった感じの曲なのですが、ブレイクのきっかけとなった「ポリリズム」の後の2曲目ということで掴みはバッチリといったところ。
「GAME」もまた間髪入れず始まる楽曲。なのですが、「plastic smile」での可愛らしい雰囲気が一変、攻撃的な重低音が容赦なく鳴り響きます。ライブではライトセーバーを用いた振り付けが印象的で、最近でも頻繁に披露されていますし、2020年に行われた『P Cubed』ツアーでもまさかの1曲目に披露され、ファンを驚かせていました。
「セラミックガール」は前曲「マカロニ」までの既発曲3連発の流れを一変させる疾走感あふれる楽曲。こうして全曲通して聴いていると「マカロニ」がいいアクセントになってるなぁと感じます。セラガに関しては、Van Halenの「Jump」を彷彿とさせるw前のめり気味なシンセのリフが終始印象的。振り付けがとんでもなく忙しないのもあり、当時3人が覚えるのに苦労したと言っていましたね。間奏で「ガール」がループする通称「ガガガループ」が楽しい。『P Cubed』には入らなかったけど、いつか裏P Cubed的なものが出るなら是非入れてほしい。
「Take me Take me」は、capsule(中田ヤスタカのメインユニット)ですか?といった感じのいわゆる音モノの楽曲。ライブでは椅子に座って行う大人っぽい振り付けが印象的です。曲もほとんど「Take me Take me Take me tonight」しか歌ってない。中田ヤスタカ feat. Perfumeといった具合で、こうした傾向はファンの間でも賛否両論だった記憶。2018年の「ファンクラブトゥワー」ではリクエストTOP10をカウントダウン方式で披露するという構成だったので、1曲目にいきなり披露していてファンが騒然としていましたね…w こういった挑戦的かつ実験的な楽曲があるのもこの『GAME』やPerfumeの評価が高まった一因だったと思います。
「シークレットシークレット」は、最初のほうでも触れましたがとにかく「Take me Take me」からの流れが完璧。なぜか一度フェードアウトして再度始まるというイントロは冷静に考えると割と結構斬新かも…。けど「Take me~」からの流れを考えるとそこも含めて計算なのかも。最初から最後まで本当に完璧な1曲だと思います。MVもブレイクまでのサクセスストーリーを描いているような演出になっていて必見です。MV同様、ライブでもマネキンをモチーフにした振り付けが印象的。マネキンから生身に、そして生身からマネキンに戻るという。大サビ途中で後ろから髪を振り乱しながら前に出てくるかしゆかのカッコよさも必見です。。
「Butterfly」は、これもcapsuleかな?といった感じの音モノ曲パート2。アジアンテイストの曲調が耳を引く楽曲。「Take me~」よりは歌詞もちゃんとあって厳密には音モノではないのですが…実験的ではあります。ライブでは衣装替えのBGMとしてしか披露されていませんでしたが、2018年の「Reframe」と「FUTURE POP」ツアーで10年越しにようやく披露されました…。このアルバムの中でベスト盤に収録されているのは「GAME」と「シークレットシークレット」だけですが、この曲に関しては海外進出の際にリリースされたコンピ盤『Global Compilation』に前2曲とともに唯一収録されています。
「Puppy love」はアルバムの最後を締めくくるアップテンポナンバー。なぜかこの曲だけバンドサウンドっぽい音作りになっており、Perfumeの全楽曲の中でもここまで生音感を全面に出した楽曲は実は異色。ライブではサビで一緒に「上下上上下上下下」の振り付けをやったり、Bメロで指でドラムを再現する通称「指ドラム」を一緒にやったりするのが恒例。最近やらなくなってしまいましたが、こういう一緒にできる振り付けがある曲はもっとやってほしい。にしてもこんなにバンドサウンドっぽい音作りにしたのはやっぱりテクノや打ち込みの音楽に馴染みのない新規ファンに対するヤスタカの気遣いだったんだろうか。これも各ベスト盤に未収録ですが、裏P Cubed的なものが出るなら絶対入りそう。
(画像をクリックorタップで「シークレットシークレット」のMVが視聴できます)
その3に続きます。