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Perfume 全作品紹介【その4・2010~2011『JPN』】

第4弾は2010年「不自然なガール / ナチュラルに恋して」から2011年『JPN』までを紹介していきます。
曲名横の数字は全楽曲リストとしてナンバリングしたものです。通算何曲目の楽曲か、というのを分かりやすくしたつもり。
また、アルバム未収録曲には★印をつけていますので、全楽曲をコンプリートしたい方はそちらを参考にしてください。
(こちらもどうぞ → Perfume 全楽曲リスト - ryo*k901
(その3はこちら → Perfume 全作品紹介【その3・2008~2009『⊿』】 - ryo*k901
(その5はこちら → Perfume 全作品紹介【その5・2012~2013『LEVEL3』】 - ryo*k901

 

2010年

不自然なガール/ナチュラルに恋して(通常盤)10thシングル不自然なガール / ナチュラルに恋して
2010年4月14日発売

  1. 不自然なガール [043]
  2. ナチュラルに恋して [044]
  3. 不自然なガール -Original Instrumental-
  4. ナチュラルに恋して -Original Instrumental-

【収録アルバム】
不自然なガールナチュラルに恋して:JPN/Perfume The Best "P Cubed"

前作「ワンルーム・ディスコ」から1年1ヶ月ぶり、『⊿』から9ヶ月ぶりの10thシングル。
不自然なガール」はプロデューサーの中田ヤスタカ曰く「鬼キャッチー」な楽曲。ジャケットやMVのアートワークが黒を基調としていたのもあって、どこかモノトーンなイメージのある曲なんですが、歌詞も「こんな雨の日にきっと 歩くキミを見つけて 急に傘をしまえば 気づいてくれるのかな」など、片思い中の女子の微妙な感情を描いてあって、どこか暗い雰囲気を感じる一曲。同時期にリリースされたcapsuleのアルバム『PLAYER』でも使われていたような音がふんだんに使われていて、サウンド的には尖っている印象を受けますが、どうもやはり当時から印象が薄いんですよねぇ。落ちサビでのかしゆかのソロパートは可愛い。曲名にちなんで、ジャケットやMVでは「Perfumeにとって一番不自然なこと」として、初めてバックダンサーが登場しています。ちなみに翌年2011年にリリースされたアルバム『JPN』では、Album-mixというような表記はされていませんが、微妙にアレンジされた「不自然mix」になっています。ヤスタカの遊び心でしょうね。
ナチュラルに恋して」はファッションブランド「NATURAL BEAUTY BASIC」のCMソングとして書き下ろされた楽曲。「不自然なガール」もそうですが、タイトルが発表された当時、ファンがかなりざわついていた記憶w 制作当時、ヤスタカはBPMの早いバージョンと遅いバージョンの2種類作っていて、どちらがいいかPerfumeの3人に意見を求めたところ、遅いほうを選んだためこのバージョンになった…らしいです。ヤスタカが楽曲について3人に意見を求めたのはそれが初めてだったんだとか。ちなみに「ナチュラルに恋して」のほうが先に完成していて、レコーディングの際に「もう1曲は正反対の曲を作る」と宣言していたと。この2曲それぞれの女の子は同じ男の子との三角関係になっているのでは、という解釈をしている人もいたり。ミュージシャンの間でも人気の高い曲のようで、平井堅スキマスイッチなどが自身のライブでカバーしています。確かにタイアップの関係もあってオシャレな感じの曲ではありますし、玄人受けする感じの曲なのかなぁーと。個人的に嫌いではないのですが特別好きっていうほどでも…。曲の雰囲気からは考えられないほどにやたらと低音がぶりぶり鳴っているのが聴きどころ。この辺りから女性ファンが徐々に増えていったような気がします。というか今振り返るとこの頃からそういう戦略になっていった感。2010年のPerfumeはCMタイアップやテレビ出演も多く、第二次ブレイク期だったように思います。

(画像をクリックorタップで「不自然なガール」「ナチュラルに恋して」のMVが視聴できます)

 

VOICE(通常盤)11thシングル「VOICE」
2010年8月11日発売

  1. VOICE [045]
  2. 575 [046]
  3. VOICE -Original Instrumental-
  4. 575 -Original Instrumental-

【収録アルバム】
・VOICE:JPN/Perfume The Best "P Cubed"
・575:JPN

前作「不自然なガール / ナチュラルに恋して」から4ヶ月ぶりの11thシングル。
「VOICE」は、曲名通り3人の声が全面的にフィーチャーされており、Perfumeの楽曲では珍しくソロパートがなく全編ユニゾンとなっています。個人的にPerfumeの魅力は断然「声(正確には3人の声が合わさったユニゾンの状態のボーカル)」だと思っているので、これはとても良い試み…なのですが曲はそこまで好きという訳ではなかったり。実はこの『JPN』期の曲っていわゆる歌モノ色強めの曲が多くて個人的にあまり好きな時代じゃないのです。閑話休題…。この曲の制作前、初めてヤスタカと3人で意見交換の場として食事会を開いたらしく、3人は当時「夏フェスで盛り上がれるバッキバキの曲」をリクエストしていたそうですが、結果として出来上がった曲がこの歌モノで当時3人はとんでもなく戸惑ったんだとか…。本当にヤスタカは天邪鬼な人だなと…。MVは関和亮監督らしさ溢れるアナログかつ手作り感あふれるもの。このMVはほんと好きです。次から次に仕掛けが現れて見ていて楽しい。ちなみにこの曲、「日産のお店で!キャンペーン」というCMで使われていて(特定の車種のCMソングではないのが今思うと不思議)、ナレーションが伊武雅刀氏、Perfumeの3人は実写での出演ではなく「パフュームカンガルー」(かしゆカンガルー、あ~ちゃんカンガルー、のっちカンガルー)として出演…というこれもまた今思うとよく分からないCMだったという小話でした…。
c/wの「575」は、こちらもCMタイアップで、「iida LIGHT POOL」という携帯機種のCMソングで使われていました。というのもあってこの時期、主に西野カナなどが台頭していた「会いたいソング」に対抗するかのごとく、Perfumeもサビで「会いたくて 気持ちはどこにあるのかな」と歌ってみた…かと思いきや、間奏でいきなりラップを披露するという、一筋縄ではいかないPerfumeらしいミディアムチューン。「VOICE」もそうですが、こちらもアジアンテイストな雰囲気があり、この2曲は発売時期もあってPerfumeの中でも特に「夏」を連想させられます。ちなみにラップ部分以外の歌詞はすべて曲名にちなんで「5・7・5」で構成されています。おもしろい。そのラップ部分もなかなかぶっ飛んでて「あーヒマなう これってチャンス?ぽちぽちボタンをプッシュなう」…ですからね。というかこの頃から既に「なう」ってあったんだなと(というよりもはや死語?) 大サビでラップ部分のトラックを持ってくる展開もなかなかぶっ飛んでておもしろい。この曲に関してはファンの方が個人的に作られた「575 (69mix)」というリミックスの完成度が高すぎて、個人的に下手すると原曲超えちゃってるかもしれないんですよね…w

(画像をクリックorタップで「VOICE」のMV、「575 (69mix)」が視聴できます)

 

ねぇ(通常盤)12thシングル「ねぇ」
2010年11月10日発売

  1. ねぇ [047]
  2. FAKE IT [048]
  3. ねぇ -Original Instrumental-
  4. FAKE IT -Original Instrumental-

【収録アルバム】
・ねぇ:JPN/Perfume The Best "P Cubed"
・FAKE IT:Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"/Perfume The Best "P Cubed"

前作「VOICE」から3ヶ月ぶりの12thシングル。
「ねぇ」は「ナチュラルに恋して」と同じく「NATURAL BEAUTY BASIC」CMソング。秋冬に向けての展開ということで、CMとMVが連動しており、大人びた雰囲気の3人が楽しめます。余談ですが、「ナチュラルに恋して」のときと違って、「ねぇ」のNBB CMは福岡では見かけなかった記憶…。11月リリースなのに2番のAメロで「信号が青に変われば あとはこの先に 待ってるのは 広い海」など若干季節外れ感がありますが、それもそのはず、実はこの曲「VOICE」や「575」と同時期に完成しており、仮タイトルも「ミラクルドライブ」だったことが後に3人の口から明かされています。ドライブ…信号が青に変われば…お気づきでしょうか、「VOICE」が日産のCMソングだったことを…。ファンの間では割と知られている話ですが、実は「ねぇ」が日産CMソングとして書き下ろされたのではないか、という説が濃厚なのです。まぁそれはいいとして、曲自体はまさに「ミラクルドライブ」感あふれる楽曲。この時期を歌モノ期と勝手に称していますが、この曲は好き。ハッピーさの中にどこか切なさを感じるタイプの曲は自分好み。そしてヤスタカが遊びまくった感が炸裂している後奏も最高。Perfume LOCKS!での宇宙初オンエアを聴いた時、思わずニヤニヤしてしまったのを未だに覚えています。
c/wの「FAKE IT」は2010年の楽曲で唯一ノンタイアップとなった楽曲。イントロから完全にヤスタカがやりたい放題やっちゃってます。曲名からしてヤスタカが「Dream Fighter」リリース後に「嘘でした!」みたいな曲を作りたかった、と言っていたリベンジなのかなと。歌モノ期というのもあって、歌パートは割と甘々な雰囲気なのですが、イントロ・間奏・後奏で容赦なく鳴りまくる攻撃的な電子音が凄まじい。ライブで披露されるとあ~ちゃんがジャンプを煽ってくるというのもあって、無条件に盛り上がる楽曲。2011年リリースのアルバム『JPN』には未収録となりましたが、その翌年2012年にリリースされた海外向けコンピ盤『Perfume Global Compilation』に収録、そのタイミングでMVも制作され、昨年2019年にリリースされたベスト盤『Perfume The Best "P Cubed"』にもノンタイアップのc/w曲ながら収録されました。まさにライブで育った楽曲だと思います。

(画像をクリックorタップで「ねぇ」「FAKE IT」のMVが視聴できます)

 

2011年

レーザービーム/微かなカオリ(通常盤)13thシングル「レーザービーム / 微かなカオリ」
2011年5月18日発売

  1. レーザービーム [049]
  2. 微かなカオリ [050]
  3. レーザービーム -Original Instrumental-
  4. 微かなカオリ -Original Instrumental-

【収録アルバム】
・レーザービーム:Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"/Perfume The Best "P Cubed"
・レーザービーム (Album-mix):JPN
・微かなカオリ:JPN/Perfume The Best "P Cubed"

前作「ねぇ」から6ヶ月ぶりの13thシングル。当初は4月20日発売予定でしたが、2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響で発売延期となりました。
「レーザービーム」は、「NIGHT FLIGHT」を思い出すYMOテイストのテクノポップチューン。「グラウンドに立つキミの姿」という歌詞にちなんで、サビではイチローの「レーザービーム」を振り付けに取り入れるなど、珍しくスポ根ソングな感じ。氷結のCMソングとして大量にオンエアされていたことや、「ストレイト ドキドキする」というサビのインパクトが強烈すぎることもあってか、ファン以外の人からの人気も高いようで、近年でも音楽番組で披露されることが割と多かったり、Perfumeの歴代シングル売上ランキングでも『GAME』でのブレイクを果たした直後にリリースされた7thシングル「love the world」に次いで2番目の売上となっています。ライブでも曲名にちなんで大量のレーザー光線が会場を覆い尽くす様は圧巻。…なのですが、個人的にそこまで好きな曲ではなかったり…。まぁ世間一般的にPerfumeといえばポリリズムやこの曲なのだろうなぁとは思います。にしても改めて聴くと「虹色のラブビーム」ってすごいな…w ちなみにMV撮影当日がまさに3月11日で製作が一時中断されたため、当初MVはショートバージョンしか制作されていませんでしたが、アルバム『JPN』初回限定盤の特典DVDと、2014年にリリースされたMV集『Perfume Clips』にフルバージョンが収録されました。ショートバージョンでは見れない結末はぜひご自身の目でお確かめくださいw
「微かなカオリ」は、こちらも氷結CMソングでしたが、ただの氷結ではなく今はなき「氷結 やさしい果実の3%」という、まぁ「ほろよい」のようなタイプの氷結のCMソングでした。というのもあって、サビは「ねぇふわっと香る」とか「やさしいキミ」とかタイアップ先を意識した歌詞になっています。歌モノ期の集大成!といった感じの楽曲で個人的にこれもそこまで…。スマホの流行を先取りし、画面を縦にして視聴することを前提に制作された「縦型Version」なるMVはなかなか面白い試みだったと思います。そしてそのバージョンで見るMVは本当に至高…。公式には上がっていませんが、これも『JPN』特典DVDと『Perfume Clips』に収録されているので画面を横にするか、もしくは首を傾けてご覧くださいw

(画像をクリックorタップで「レーザービーム -Short Version-」「微かなカオリ」のMVが視聴できます)

 

スパイス(通常盤)14thシングル「スパイス」
2011年11月2日発売

  1. スパイス [051]
  2. GLITTER [052]
  3. スパイス -Original Instrumental-
  4. GLITTER -Original Instrumental-

【収録アルバム】
・スパイス:JPN/Perfume The Best "P Cubed"
・GLITTER:Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"
・GLITTER (Album-mix):JPN

前作「レーザービーム / 微かなカオリ」から6ヶ月ぶりの14thシングル。
「スパイス」は、Perfume初の地上波ドラマ主題歌となった高揚感溢れるミディアムナンバー。散々歌モノ期と称してきましたが、この曲は本当に素晴らしい。細部まで作り込まれたトラックと、美しいメロディライン、これはもう歌モノでもあるし音モノでもある。あまりにも好きすぎてもはや客観的かつ冷静に書くことは不可能なほどなのですがw イントロから最後まで本当に耳が心地よいとしか。「知らないほうがいいのかもね でも思いがけないワクワクがほしい」というサビの歌詞は、表向きにはよくある恋愛感情を描いているようですが、翌年海外進出を果たすPerfumeの行方を示唆しているようで、そう考えて聴くとアウトロの「何かが始まるような雰囲気」にゾワゾワします。ちなみに同月リリースされたアルバム『JPN』でも最後の曲として配置されています。「巡り巡り何か起こすの」という歌詞はまさにPerfume自身のこれまでとこれからを歌っているよう。ライブで盛り上がりにくい(というより盛り上がりを3人に伝えにくいw)というのもあり、なかなか披露されないのですが、2018年のFUTURE POPツアーで久々に披露され、本当に最高でした…。「love the world」「スパイス」「Sweet Refrain」、この3曲をいつか同じ日にすべてフルで見るのが自分の夢です。
c/wの「GLITTER」は、3度目となる氷結CMソング。イントロから曲名通りキラキラした電子音が鳴り響くアップチューン。この曲、CMソングでMVも制作されているのに何故か両A面扱いにならず、『P Cubed』にも収録されなかったんですよね。ファンの間でも残念がる声が多かった。歌詞は強烈にタイアップ先を意識したものとなっており、2番でいきなり「一日の楽しみは誰にも止められないよ 今日も明日も 白い箱 開けると いつもの棚にあるの キラリ 光る そうさGLITTER」と、あぁ氷結飲みてえなと思いたくなってしまうようなフレーズが飛び出してくるのはヤスタカなりの遊び心か。普通タイアップ先を意識した歌詞はサビに持ってくるもんですからね…w アルバム『JPN』ではAlbum-mixとしてライブ仕様にアップデートされたバージョンが収録されましたが、個人的にはこのシングルバージョンでしか聴けない、2番のサビ終わりの「キミと笑って」の歌い終わり「テーテーテーテテテテテテテテ」のとこが好き。Album-mixも最高なんですけどね。あと歌詞は恐らく震災による被災者への鎮魂歌の意味も込められているのではないかと。「その日がいつか来るまで 泣かないよ 思い出すよ キミを祈って キミと笑って」とか。2012年のJPNツアーでも1本の光を3人で頭上へ送る演出が印象的でした。

(画像をクリックorタップで「スパイス」「GLITTER」のMVが視聴できます)

 

JPN(通常盤)4thアルバム「JPN」
2011年11月30日発売

  1. The Opening [053]
  2. レーザービーム (Album-mix)
  3. GLITTER (Album-mix)
  4. ナチュラルに恋して
  5. MY COLOR [054]
  6. 時の針 [055]
  7. ねぇ
  8. 微かなカオリ
  9. 575
  10. VOICE
  11. 心のスポーツ [056]
  12. Have a Stroll [057]
  13. 不自然なガール
  14. スパイス

【収録アルバム】
・MY COLOR:Perfume The Best "P Cubed"

前作『⊿』から2年4ヶ月ぶりの4thアルバム。タイトルは翌年の海外進出(当時は未発表)を意識してか、「日本」をテーマに「漢字一文字でカッコいい文字」で考えていたらしく、Perfume=香水にちなんで「香」に決まりかけていたところに、プロデューサーの中田ヤスタカが「JPN」を提案し、その場で決定したんだそう。ちなみにあ~ちゃんは「厳」を推していたんだとかw また、3.11によりスケジュールが大幅に狂ったのか分かりませんが、今作はシングル5作、両A面曲やc/w曲も含めると既発曲が合計9曲、1曲目のオーバーチュア「The Opening」を除くと、新曲はたった4曲という半ベスト盤状態となっており、これは2020年現在、Perfumeのアルバム7枚中最も新曲の数が少ないアルバムとなっています*1。本来なら4月に「レーザービーム」がリリース予定だったので、夏にはアルバムを出す予定だったのかなーだったらもう少し新曲多めだったのかなーというのは今更考えても仕方ないことですが…。当時はかなりガッカリした記憶があります。2年以上待ったのにたった4曲…と。

「The Opening」は前作『⊿』と同じく1分程度のオーバーチュア。どことなく厳かかつアンビエントな雰囲気。これは2010年に行われた初の東京ドーム公演のオープニング演目「GISHIKI」にも通じる世界観。そして、2曲目「レーザービーム (Album-mix)」へ。1サビ終了後、一瞬音飛びかと思ってしまうほど大胆にカットアップされた間奏に入る瞬間から原曲と大幅にアレンジが変わっていきます。ライブではこちらのバージョンで披露されることが多いですね。ラスト「虹色のラブビーム」を執拗に繰り返し、ノンストップで3曲目「GLITTER (Album-mix)」へなだれ込む展開はやはり何度聴いても鳥肌。「レーザービーム」と違い、こちらはAlbum-mixというよりExtended-mixといった感じで、イントロから歌い出しまでに1分以上あるため、原曲より40秒ほど長くなっています。これもライブではこちらのバージョンで披露されるほうが多いですね。ライブ仕様なアレンジ。元から盛り上がる曲ですが、更に盛り上がるように作られてます。#2~#3でガン上がりさせられたリスナーを一休みさせるかのように配置された#4「ナチュラルに恋して」が心地よい。

「MY COLOR」は、アウトロなしで終わる「ナチュラルに恋して」から間髪入れず歌い出しから始まる楽曲。ライブでは曲が始まる前にあ~ちゃんが「せーの!」と合図をし、観客が一斉に手のひらを掲げるのが恒例。大抵何の練習もなく「その一瞬を3人が楽しむために」始まるので、初見殺し感が半端ない1曲。もし間に合わなかったらまた来てね!という感じではあるが、そんなに頻繁にライブで披露される曲でもないというのがまた…。曲自体は「手のひらが世界中つながるウィンドウ」という後のスマホ全盛時代を予感させる歌詞。震災直後というのもあって、その空気感も反映してあるのかな。コロナ禍により大混乱に陥っている今、改めてこの歌詞が当時よりも深く響くように思う。けど個人的にそこまで好きな曲では…。「微かなカオリ」をノリよくした感じ。まぁライブの終盤、これやられると普通にグッときちゃうんだけどね。歌モノなPerfumeが好きな人向け。

「時の針」は、完全に「みんなのうた」チックな童謡ソング。2分半という短さは、アルバム1曲目のオーバーチュアを除けば、Perfumeの楽曲中最短。近年は割とボーカルのエフェクトが控えめなことが多いですが、この曲は特にエフェクトが薄い。もうほとんど生歌に近い。歌詞の内容的に結婚式で流しても合いそうな感じ。ライブではJPNツアーで披露されたっきりですが、完全にお人形さんのような動きにただただ見惚れるしかありませんでした。福岡国際センター、ちょうど出島の真ん前の席だったので、目の前にのっちがいたのですが、本当に人間とは思えないような動きをしてました。あと太ももすごい。一緒に見に行った母親があれはもうアスリートだね…と若干引いてたぐらい。全14曲中まだ7曲目で厳密には違いますが、#7「ねぇ」から後半戦突入。表記はないけど実はアルバムmixらしい。シングルバージョンよりも低音が強調されているとかなんとか…。「不自然なガール」ほどはっきり分かるレベルではないので、若干ヤスタカがミキシングでイジっただけなんじゃないかと思われ…。#7「ねぇ」に続き、#8「微かなカオリ」、#9「575」、#10「VOICE」とここから既発曲4曲が続きます。

「心のスポーツ」は、曲名からして完全に80年代アイドル感満載なアイドルソング。散々歌モノ否定してきましたが、『JPN』の新曲4曲の中では一番好きだったり。ここまで振り切ってると逆に清々しい。2018年リリースのアルバム『Future Pop』の中の「天空」にも通じるこの感じ。サビで3人と一緒に「ぐるぐるぐるトントン×2 ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるトントン」という振り付けをやるのが恒例でしたが、JPNツアー以降、あんまりやってない…。あの振り付け楽しいんだけどな。「ポリリズム」でのブレイク以降で一番アイドルアイドルしてる曲な気がする。

「Have a Stroll」は、エレピの音色が印象的なミドルチューン。前作『⊿』で言うと「Zero Gravity」に通じるような曲調。歌詞にもあるように「晴れた雲ひとつない」「日曜のお昼」に散歩しながら聴きたいような一曲。曲名まんまですが。エレピの音色がシャレオツなせいか若干、近年再注目を浴びているシティポップな雰囲気を感じる。これと「時の針」はどちらもJPNツアーでしか披露されていないけど、これは普通に今やっても違和感ない気がする。こういうアルバムのツアーで一回披露されたっきりの曲を救済するレア曲ツアーみたいなのやってほしいな…。#13「不自然なガール」は前述の通り表記はないものの所々微妙にイジってあります。「レーザービーム (Album-mix)」同様、フロアライクなイジり方がされており、1サビ終わり辺りから違いが分かりやすいかと。原曲よりもギターの音色が強調されていて、落ちサビ前やアウトロとか特に分かりやすい。レーザービームやGLITTER同様、このバージョンはこのアルバムでしか聴けませんが、個人的にはこっちのほうが好きかも。#14「スパイス」で終幕。ほんとラストに配置されることでより一層ドラマティックに聴こえるよなあ…。余韻控えめにばっさり終わるのも逆に唐突な無音で補完されるようなそんな感じ。本当に「スパイス」好きだな自分w

8年の下積みを経てブレイクを果たした出世作『GAME』、大人びた楽曲など方向性を模索し過渡期的印象の強かった『⊿』を経て、2年4ヶ月ぶりにリリースされた『JPN』。アミューズが社運をかけて全力で売りにかかったのか、2010年からのCMタイアップ攻勢は本当に凄まじく、次から次にタイアップ決定の知らせが飛び込んでいたし、新曲を出す度に音楽番組のみならず様々な番組に出ていました。ブレイクを果たし、急激な環境の変化についていけず「テレビやラジオに出ても誰に向けてやっているのか分からない」「見捨てんでね!」と弱音すらこぼしていた2009年5月の代々木公演。同年夏~秋には初のホール&アリーナツアーを、そして2010年11月には初めての東京ドーム公演も成功させ、武道館→代々木→東京ドームと着実にステップアップを果たしてきた2011年のPerfumeにはもう不安の2文字を感じさせることはありませんでした。ただ、音楽面で言うとあまりにもタイアップが多すぎて、その度にシングルカットしていたのもあり、結果、前述の通り既発曲だらけで新曲は僅か4曲という『Complete Best 2』状態に当時はがっかりしたものです…。ただ、結果的にこれが功を奏したのか、セールスは前作『⊿』を超えましたし、同年代の女子をターゲットにしたような楽曲を増やしたり、NBBとのコラボ、そして多くのCMタイアップなどもあり、この頃から一気にファン層が性別年齢問わず拡大した印象があります。今思うとここで『⊿』の路線を更に突き詰めず、あえて歌モノに振り切ったのは日本国内での人気を不動のものにし、地盤を固めた上で海外進出を果たそうという戦略だったのかなーと。もちろんこれは結果論に過ぎませんが。個人的に半ベスト盤に近い内容というのもあり、Perfumeの全アルバムの中では一番評価の低いアルバムではあるのですが、Perfumeを初めて聴く人がP Cubedなどのベスト盤を聴いた次に聴くアルバムとしてはこれが一番最適だと思います。総評としてはPerfumeの歌モノが好きな人向けのアルバム。逆にこの頃のPerfumeが好きな人は最近の曲つまんないだろうなぁと思う…。

ちなみに下にMV貼り付けようとして気づいたんですが、このアルバムって『Complete Best』以外で唯一アルバム曲のMVが存在しないんですね。というかリード曲がない。『COSMIC EXPLORER』での「FLASH」をアルバム曲とみなせば、ですが…。仕方ないのでTV-SPOTと、JPNツアーでの「GLITTER」のライブ映像を貼っておきます。

(画像をクリックorタップで『JPN』のTV-SPOTと、「GLITTER (Album-mix)」のライブ映像が視聴できます)

*1:1stアルバム『Perfume ~Complete Best~』は新曲1曲のみでしたが、タイトル通りベスト盤なので例外としています