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Perfume 全作品紹介【その5・2012~2013『LEVEL3』】

第5弾は2012年「Spring of Life」から2013年『LEVEL3』までを紹介していきます。
曲名横の数字は全楽曲リストとしてナンバリングしたものです。通算何曲目の楽曲か、というのを分かりやすくしたつもり。
また、アルバム未収録曲には★印をつけていますので、全楽曲をコンプリートしたい方はそちらを参考にしてください。
(こちらもどうぞ → Perfume 全楽曲リスト - ryo*k901
(その4はこちら → Perfume 全作品紹介【その4・2010~2011『JPN』】- ryo*k901
(その6はこちら → Perfume 全作品紹介【その6・2013~2016『COSMIC EXPLORER』】 - ryo*k901

 

2012年

Spring of Life15thシングル「Spring of Life」
2012年4月11日発売

  1. Spring of Life [058]
  2. コミュニケーション [059]
  3. Spring of Life -Original Instrumental-
  4. コミュニケーション -Original Instrumental-

【収録アルバム】
・Spring of Life:Perfume The Best "P Cubed"
・Spring of Life (Album-mix):LEVEL3

前作「スパイス」『JPN』から5ヶ月ぶりの15thシングル。
「Spring of Life」は、海外進出を視野に入れた活動を本格的にスタートさせるため、2005年のメジャーデビュー以降、7年間在籍した徳間ジャパンから、ユニバーサルミュージックへ移籍した第一弾シングル。というのもあり、スネア連打で否応なくテンションが上がるイントロなど、勢いに満ちた楽曲になっており、また季節柄、新生活を始める人達にも重ねられるような歌詞と曲調になっています。タイトルは「春」と「バネ」でかけてるんですかね。前年から続く氷結CMタイアップですが、そこまで「GLITTER」や「レーザービーム」に比べて歌詞に氷結感はありません。リリース前のティーザー映像では間奏の前半(エレクトリカルパレードっぽくなる前の部分w)が使われており、映像もアンドロイドに扮した3人(MVからの流用)が登場したり、久々の近未来感にワクワクさせられたものです。第一弾というのもあってヤスタカも手堅くまとめてきたなという感じの一曲。
c/wの「コミュニケーション」は、ピュレグミCMソング。あの甘くて酸っぱいグミです。当時めっちゃ食べたな…。歌詞も「ぷるぷるつんつん」「Gummi Gummi」「甘酸っぱい想い」などタイアップ先を強烈に意識したものになっていますが、サビ以外は「空から突然好きな子が降ってきたりして受け止め方を考えてみたけど骨折れる」などヤスタカ相当遊んでます。曲のほうもキッチュな雰囲気がどことなくヤスタカが酒井景都と組んでいたユニット「COLTEMONIKHA」の楽曲を思わせる感じで、小気味よいリズムやメロディが癖になる。サビで何度も繰り返される「ぷるぷるつんつん」というフレーズが本当に麻薬のように頭に刷り込まれます…。ちなみにこの曲はアルバム未収録なのでこのシングルでしか聴けません。いい曲なので是非。

(画像をクリックorタップで「Spring of Life」のティーザー映像とMVが視聴できます)

 

Spending all my time16thシングル「Spending all my time」
2012年8月15日発売

  1. Spending all my time [060]
  2. ポイント [061]
  3. Hurly Burly [062]
  4. Spending all my time -Original Instrumental-
  5. ポイント -Original Instrumental-
  6. Hurly Burly -Original Instrumental-

【収録アルバム】
・Spending all my time/Hurly Burly:Perfume The Best "P Cubed"
・Spending all my time (Album-mix)/ポイント:LEVEL3

前作「Spring of Life」から4ヶ月ぶりの16thシングル。
「Spending all my time」は、当時海外で流行中だったEDMサウンドを大胆に取り入れた楽曲。制作当初は全英語詞になる予定だったものの、Perfumeの3人が「日本語詞も入れてほしい」とヤスタカに強く要求した結果、採用されたという逸話も。海外進出するからといってこれまでやってきたスタイルを変えたくない、という強い意思があったらしく、テレビ出演時も「この曲はライブで育てていきたいから」と「Spending all my time」ではなく、c/wの「Hurly Burly」を披露するという徹底ぶりでした。両A面曲でもないc/w曲を披露するなんて相当異例。ライブで育てていきたいという言葉通り、実際当時の夏フェスでは普通に披露していました。数年後のMステでやっとテレビ初披露していたような。曲のほうは普通にカッコいいですね。ちょっとEDMに寄せすぎかなという感じがしないでもないですし、今聴くと若干すでに古く感じてしまいますが、日本語詞が入っていることで絶妙にPerfumeらしさがブレンドされているというか。
c/wの「ポイント」は、「微かなカオリ」以来の「氷結 やさしい果実の3%」CMソング。ドラムンベースを取り入れた可愛らしい楽曲。どことなく『JPN』に入っていた「Have a Stroll」を思わせる曲調。『LEVEL3』にも収録され、アルバムツアーでも披露されましたが、まさかのゴンドラに乗って観客に手を振るだけ…という。多分ちゃんとした振り付けは未だに披露されていない…はず。何気に隠れた名曲だと思う。
もう1曲のc/w「Hurly Burly」は、氷結CMソング。これが最後の氷結タイアップ。前述の通り、リリース当時はこちらをテレビ披露していました。これも若干EDMの雰囲気を感じるビート強めの楽曲。『LEVEL3』には未収録となり、アルバムツアーでも披露されませんでしたが、2018年のファンクラブ会員限定ツアーの聴きたい曲投票でランクインし、ワンマンライブでは初披露されたことをきっかけに、ファンの間で人気が再燃し、長らくアルバム未収録でしたが、2018年のベストアルバム『P Cubed』で初収録。P Cubedツアーでも披露されました。ライブで盛り上がるタイプの曲だと思いますし、今思うと『LEVEL3』に入らなかったのが謎。

(画像をクリックorタップで「Spending all my time」のMVが視聴できます)

 

Perfume Global Compilation LOVE THE WORLDコンピレーションアルバムPerfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"」
2012年9月12日発売

  1. ポリリズム
  2. edge (⊿-mix)
  3. love the world
  4. エレクトロ・ワールド (Album version)
  5. チョコレイト・ディスコ (2012-Mix)
  6. SEVENTH HEAVEN
  7. GAME
  8. シークレットシークレット
  9. NIGHT FLIGHT
  10. Baby cruising Love
  11. Butterfly
  12. FAKE IT
  13. レーザービーム
  14. GLITTER
  15. MY COLOR (LTW-Mix)
  16. Dream Fighter

海外進出を視野に入れた活動をスタートさせたことに伴い、「海外向けの入門編」をコンセプトにリリースされた「グローバルコンピレーション」。事実上、初のベスト盤でしたが、あくまで名目上はコンピレーションアルバムで、2018年の『P Cubed』が初のベスト盤だった模様。またユニバーサルミュージックへ移籍した後のリリースでしたが、徳間ジャパン時代の楽曲から選曲され、リリースも徳間ジャパンからだったので、長年お世話になった徳間への置き土産的な意味合いもあったものと思われます。
SEVENTH HEAVEN」と「FAKE IT」がアルバム初収録(後に『P Cubed』にも収録)。「レーザービーム」と「GLITTER」はシングルバージョンがアルバム初収録で、「GLITTER」のシングルバージョンはこのアルバムにしか収録されていません(「レーザービーム」は『P Cubed』にも収録)。また、「エレクトロ・ワールド」はパッケージ上に表記はありませんが、1stアルバム『Perfume ~Complete Best~』に収録されているイントロ有りのバージョンで収録されています。そして太字の「チョコレイト・ディスコ (2012-Mix)」と「MY COLOR (LTW-Mix)」は、このアルバムだけでしか聴けないバージョンとなっています。
チョコレイト・ディスコ (2012-Mix)」はイントロや間奏などが大幅に引き伸ばされ、原曲よりも1分以上長くなっており、そのイントロや間奏で執拗に繰り返される「チョチョチョチョ…」のリフレインwが耳に残るアレンジに。また、一番分かりやすい違いは原曲にないピアノの伴奏が追加されていて、より叙情的な仕上がりになっているところでしょうか。あとは原曲のピコピコ感が薄れ、ベースラインなどの重低音が強調されているところとか。リリース後数年はこのミックスで披露されることが多かったですが、最近は原曲のほうが多いかも…。個人的にも「チョチョチョチョ…」のリフレインや、大サビで追加されたシンセのリフは好きですが、全体的なアレンジとしては蛇足な部分が多いかな…といった印象。これに関しては原曲が完璧すぎるんですよ…笑
「MY COLOR (LTW-Mix)」は、どことなくリゾート感漂う仕上がりに。元々そこまで好きな楽曲ではないので、これも特に…。原曲よりもやはりビートを強調させたアレンジになっていますね。うーん、やっぱりこのアレンジも蛇足かなぁ。原曲の疾走感が失われていてちょっと残念。

(画像をクリックorタップで『Perfume Global Compilation "LOVE THE WORLD"』のTV-SPOTが視聴できます)

 

2013年

未来のミュージアム17thシングル未来のミュージアム
2013年2月27日発売

  1. 未来のミュージアム [063]
  2. だいじょばない [064]
  3. 未来のミュージアム -Original Instrumental-
  4. だいじょばない -Original Instrumental-

【収録アルバム】
未来のミュージアム/だいじょばない:LEVEL3/Perfume The Best "P Cubed"

前作「Spending all my time」から6ヶ月ぶりの17thシングル。
未来のミュージアム」は、映画「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」主題歌として書き下ろされた楽曲で、歌詞や振り付けにもドラえもんひみつ道具を思わせるものがふんだんに取り入れられていて、あ~ちゃん曰く「ドラえもんさんに寄せました」な楽曲w 「Perfume WORLD TOUR 1st」の最終日シンガポール公演で主題歌を担当することが発表され、その際にドラえもんも登場したのですが、それを映画館でのライブビューイングで見ていた自分は
子供の頃からドラえもん大好きっ子だったということもあり、なんとも言えない感慨深い気分になったのを覚えています。ただ、曲のほうは本当にドラえもんさんに寄せすぎてて、どこか小っ恥ずかしい感じになるというか…。素直に好きと言えないようなタイプの曲。いい曲ではありますし、自分は大山のぶ代以外のドラえもんなんて有り得ないと未だに思っているめんどくさいタイプのドラえもんガチ勢なので、未だに「のび太のひみつ道具博物館」は見たことがないのですが、きっとエンドロールで流れるとホロッときてしまうんだろうな…という感じの曲です。あと曲調の割にベースがめちゃくちゃ暴れまわってて低音がかなり凶暴だったり。ギャップがすごい。ちなみにMVはドラえもん愛にあふれていて見ていてグッとくるものがありますw
c/wの「だいじょばない」は、ドラえもん主題歌目当てでCDを買ってもらった子供を調教させるつもり満々のバッキバキな楽曲。2010年あたりからCMタイアップが激増していたこともあり、タイアップなしで何の前情報もないc/w曲というのは2010年「ねぇ」c/wの「FAKE IT」以来だったため、ファンの間でもその衝撃的なタイトルwも相まって期待が高まっていた楽曲でしたが…蓋を開けてみるとびっくり。A面のあまりのドラえもん感に脱力しきっていた自分もこれを聴いて「やっぱPerfume大丈夫だ!」と思ったものです…。

(画像をクリックorタップで「未来のミュージアム」のMV、「だいじょばない」のライブ映像が視聴できます)

 

Magic of Love【シングル&DVD連動プレゼントキャンペーン応募券封入】 (通常盤)18thシングル「Magic of Love」
2013年5月22日発売

  1. Magic of Love [065]
  2. Handy Man [066]
  3. Magic of Love -Original Instrumental-
  4. Handy Man -Original Instrumental-

【収録アルバム】
・Magic of Love (Album-mix):LEVEL3/Perfume The Best "P Cubed"
・Handy Man:LEVEL3

前作「未来のミュージアム」から3ヶ月ぶりの18thシングル。
「Magic of Love」は、「コミュニケーション」以来、2度目となるピュレグミCMソング。「スパイス」あたりの系譜をたどるような、3人のハーモニーが耳を引くポップチューン。曲を引っ張っていくシンセのリフの感じはどことなく『GAME』収録の「セラミックガール」も思わせる。ラジオ番組「Perfume LOCKS!」での宇宙初オンエアの際は、曲の終わり方に意表を突かされた記憶w CDではちゃんとアウトロあるんだよね?と思いましたが、CDでもこの終わり方でした。ちなみに『LEVEL3』収録のAlbum-mixでもやはり終わり方は唐突なままでしたし、何かヤスタカの中でこだわりがあったのでしょうか。そして2018年のベスト盤『P Cubed』でもなぜかこの曲だけAlbum-mixで収録されたため、この曲のシングルバージョンはこのシングルでしか聴けないという事態に…。個人的にビート強めのAlbum-mixよりもシングルバージョンのほうが好みなのでこれはほんとに残念でした…。何故?
c/wの「Handy Man」は、イントロからインドあたりのアジアンテイストを感じる冒険曲。そういえば3人も首を左右に振る振り付けがあったような。ひとり寂しい夏を送る女子が「リアルリアルに恋がしたい なんとかして お願い Handy Handy Man」とスマホ片手につぶやく…そんな何とも暗すぎる歌詞が印象的。個人的には当時からそこまで好きな楽曲ではないのですが、今思えばc/wでこういう冒険的な曲を持ってこれるようになったこの時期あたりからPerfumeがひとつ上の段階にステップアップしたように思います。

(画像をクリックorタップで「Magic of Love」のMVが視聴できます)

 

LEVEL35thアルバム「LEVEL3」
2013年10月2日発売

  1. Enter the Sphere [067]
  2. Spring of Life (Album-mix)
  3. Magic of Love (Album-mix)
  4. Clockwork [068]
  5. 1mm [069]
  6. 未来のミュージアム
  7. Party Maker [070]
  8. ふりかえるといるよ [071]
  9. ポイント
  10. だいじょばない
  11. Handy Man
  12. Sleeping Beauty [072]
  13. Spending all my time (Album-mix)
  14. Dream Land [073]
    (Bonus Editionのみ)
  15. Spending all my time (Radio mix)
  16. Spending all my time (DV & LM remix)

【収録アルバム】
・1mm/Party Maker:Perfume The Best "P Cubed"

前作『JPN』から1年11ヶ月ぶりの5thアルバム。海外進出に向けてユニバーサルミュージックへ移籍してから初のオリジナルアルバムということもあり、これまでで最もダンサブルかつ攻撃的なアルバムとなっているのが特徴。また、東京ドームと京セラドームで行われた「Perfume 4th Tour in DOME『LEVEL3』」の開催が先に決まっていたことで、ヤスタカもそれに合わせてアルバムを制作したらしく、ライブのサントラ盤的な側面もある一枚。

#1「Enter the Sphere」は、2012年5月頃から公開されていた「Perfume Global Site」のBGMとして使用されていた楽曲の完成版。アルバムを初めて聴いた時「おーあのBGMが…!」とかなり興奮したのを覚えています。『⊿』の「Take off」も、『JPN』の「The Opening」も1分程度の小曲だったのに対し、こちらは3分半もあります。これは後の『COSMIC EXPLORER』の「Navigate」や、『Future Pop』の「Start-Up」も1分程度の小曲であるため、現時点では後にも先にもこのアルバムだけのこと。歌詞もあるので曲として成立しています。ちなみに『LEVEL3』ツアーでは更に引き伸ばしたバージョンが使われていましたが、そちらもまた高揚感を煽りまくるアレンジで最高だったので、いつか音源化してほしいです…。そしてそこから間髪入れずに#2「Spring of Life (Album-mix)」へ。ティーザー映像で使用されていた間奏の部分がイントロに導入されており、当時のファンも「そうだよこれこれ!こういうのを待ってた!」といった反応でしたね。完全にライブ仕様といった感じでもはやライブアルバムを聴いているような感覚に陥ります。#3「Magic of Love (Album-mix)」は後にベスト盤『P Cubed』にも収録されたバージョン。原曲よりもビートが強調されていて、踊れる曲調になっています。個人的には曲の雰囲気や3人の声質との剥離が激しすぎる気がして違和感しかない…。

#4「Clockwork」は、四つ打ちから始まるクールなミディアムチューン。ヤスタカは当初この曲をリード曲に推していたそうで。疾走感はあるもののどこか物憂げなこの感じ。とにかく美麗としか。聴き入ってしまいますね。「このままでwah wah wah止まらない」からの終盤の展開は最高。

#5「1mm」は、チョコラBBのCMソングとして起用されたリード曲。前曲のハイハットからの流れが気持ちいい。3人のカノン方式の振り付けも見ていて気持ちがいいし、トラックの気持ちよさも半端ない。地味にかなり好きな曲だったりします。歌詞の「現実を突きつけられる感」が強すぎて人によっては聴くのがつらいようですが、「Dream Fighter」の先にある楽曲だと捉えているというのっちの感想と同じく、打ちひしがれた感が自分には優しく響きます…。2サビに入る前「1mmも足りないままで」のとこ最高に好き。この淡々と展開していくミニマムな感じがたまらんです。続く#6「未来のミュージアム」は箸休め的な配置でこれはこれで心地いいものの、アルバム全体の流れからは浮いているとやはり感じる。

#7「Party Maker」は、こちらもチョコラBBのCMソングで、「1mm」よりも先にオンエアされていました。「未来のミュージアム」でクールダウンした身体を一気にヒートアップさせるようなイントロに否応なしに身体が動きます。「手をかざして光を感じて身体突くこのスピーカー頭揺らすこのリズム」など歌詞も完全にライブを意識した内容になっており、これはもうライブで実際に体感するしかないです。音源だけでも十分感じられるとは思いますが、ライブ会場で大音量で聴くと本当にリミッター外れます。いつかコロナが収束した日には必ず…。ちなみにヤスタカはこのアルバムに向けて「長い曲はその長さに意味がある。」「このご時世、何かしながら音楽を聴くことが普通になっているけれど、本作は時間をかけて聴いて欲しい。集中して聴くことで見えてくるものや聞こえてくるものがある。」とのコメントを寄せています。この曲は約7分半もの大作なのですが、無駄な部分は一切ないのでこの長さを楽しめない人は本当にもったいない。余談ですが、1分半あたりから主張し始める低音のベースラインの音が、2分15秒あたりから徐々に高くなっていく展開が最高に好きすぎるんですが、ライブではいつも省かれます。いつかフルでやってほしい…!

#8「ふりかえるといるよ」は、前曲「Party Maker」でアガりくさった身体を再度クールダウンさせてくれるようなミディアムチューン。この曲は…何とも言えない…。どこかレゲエっぽい雰囲気も感じさせつつ、歌詞は金縛りがテーマというシュールさ。ヤスタカはアルバム完成後に「ずっと同じ人がプロデューサーを務めている強みは、全力で作る曲だけじゃなくて変化球も出せること。その変化球がいい遊びになり、面白いアルバムになる。」というコメントを寄せたそうですが、恐らくここで言う変化球とはこの曲のことでしょうね…。『LEVEL3』のアルバムツアーで披露されたきり、ライブでは披露されていませんが、多分二度とやらないような気がする。そういう意味ではPerfumeの楽曲中もっとも影の薄い曲だと思うのですが、どうでしょう…?「おかしいなおかしいな動かせないよ」というフレーズは本当にただただシュール。#9「ポイント」はこの流れで聴くとより一層さわやかに聴こえますね。やっぱいい曲だよなぁ。こういう曲をもっとライブで救済してほしい…!当初アルバムに収録される予定ではなかったそうですが、流れにはぴったりハマっている。ダンサブルなアルバムというテーマで「Hurly Burly」を外したのはやっぱり謎ですが…テレビでもあんだけやってたのにね。まぁあれはあれで浮くか…多分…。ここから#9「ポイント」~#10「だいじょばない」~#11「Handy Man」という既存曲3曲。

#12「Sleeping Beauty」は、5分近くある楽曲ですが、ほぼインストに近い楽曲。3人のパートは「Sleeping Beauty...」と歌うのみ。「Handy Man」を入れるなら「Hurly Burly」を入れたほうがよかったのでは…?と思ってしまいますが、「Handy Man」からこの曲への流れはすごく自然なのでこの曲のために「Handy Man」があるようにすら感じます。『GAME』で言うところの「Take me Take me」と「Butterfly」を足して二で割ったような雰囲気の一曲。2分40秒あたりから暴走し始める展開と、終盤「Beauty」を執拗に繰り返す部分の気持ちよさ。反復って気持ちいいよね。…そして#13「Spending all my time (Album-mix)」で一気にアルバムのボルテージは最高潮へ。2013年6月に参加したカンヌ広告祭」でのパフォーマンス時の音源が基になったアレンジとなっており、サビまでなかなか辿り着かないアレンジはまさにフロア仕様。ラスト1分で一気に爆発するこの感じは最高ですね。

#14「Dream Land」は、アルバムラストを飾る幻想的なバラードナンバー。『LEVEL3』ツアーでは本編最後にこの曲を披露し、そのままMCやアンコールもなくステージを去る…という演出を未だに引きずっているファンも多く見受けられます…笑。大サビ前の「come again まだ戻れるよ キミの腕をボクが引くから」で若干ダブステップっぽくなるのがツボ。歌詞はゲームの世界を描いているのかPerfumeにしては珍しくどこかいつも以上にシリアスな雰囲気。「ホントにキミのことを想う 気持ちのないやさしい言葉の毒」あたりは初期の作詞を担当していた木の子さんを彷彿とさせる。

#15・16の「Spending all my time」リミックスは、海外のレコード会社から全米デビューという形でリリースされた「LEVEL3 (Bonus Edition)」のみに収録されているボーナストラック。Perfumeの楽曲を初めてヤスタカ以外の人物がリミックスした音源となっており、割と貴重な音源ではありますが、まぁコレクターズアイテムというか、こういうのもアリだよね、という程度のものです…。ただ新鮮さはあるのでそろそろヤスタカやそれ以外の人物によるリミックスアルバムを出してほしいなーなんて思いますね。

2008年『GAME』、2009年『⊿』、2011年『JPN』を経てリリースされたアルバム『LEVEL3』、強気なタイトルからも感じられるように、とにかく「攻め」のアルバムになっているのが特徴的。ツアーが先に決まっていたというのもあり、それを見据えた作品像となっていて、他のどのアルバムよりもライブを意識した作りになっているのもまた特徴。「Party Maker」は特に後にも先にもこの曲以上にライブを意識した楽曲はないと思いますし、1曲目が1分程度の小曲でないのも現時点ではこのアルバムだけ。「Spring of Life」を始めとするAlbum-mixのライブ仕様なアレンジも、とにかく「ライブのためのアルバム」というのを強く感じます。個人的にダンスミュージックはPerfumeだけでなく、ヤスタカの本業CAPSULEや、電気グルーヴなども聴くので抵抗なく当時から聴けましたが、前作が『JPN』というかつてないほど歌モノよりなアルバムだっただけに、当時は割と賛否両論分かれていたように思います。今でも思うのですが、ユニバーサルへ移籍して以降のPerfumeは若干売り方が「???」と感じる部分も多々あり、結果的に徳間に残留するよりは正解だったのだと思いますが、なんというかいびつな面白みみたいなものはなくなってしまったのかなーと思わないこともなかったり。それまでと比べてより一層洗練された感のあるアルバムですね。もちろんここから更に磨きをかけていき、さらなる飛躍を見せていくのですが…。ライブのためのアルバムというだけあり若干荒削りな印象もあるものの、ライブならではの爆発的な勢いはこのアルバムが一番感じられると思います。移籍第一弾ということでかなりバッキバキに完全武装Perfumeが楽しめる一枚。

(画像をクリックorタップで「1mm」のMVと、「カンヌ広告祭」での「Spending all my time」のライブ映像が視聴できます)