ryo*k901

by ® / since 2009.10.17

Perfume 全作品紹介【その6・2013~2016『COSMIC EXPLORER』】

第6弾は2013年「Sweet Refrain」から2016年『COSMIC EXPLORER』までを紹介していきます。
曲名横の数字は全楽曲リストとしてナンバリングしたものです。通算何曲目の楽曲か、というのを分かりやすくしたつもり。
また、アルバム未収録曲には★印をつけていますので、全楽曲をコンプリートしたい方はそちらを参考にしてください。
(こちらもどうぞ → Perfume 全楽曲リスト - ryo*k901
(その5はこちら → Perfume 全作品紹介【その5・2012~2013『LEVEL3』】 - ryo*k901

 

2013年

Sweet Refrain19thシングル「Sweet Refrain」
2013年11月27日発売

  1. Sweet Refrain [074]
  2. 恋は前傾姿勢 [075]
  3. Sweet Refrain -Original Instrumental-
  4. 恋は前傾姿勢 -Original Instrumental-

【収録アルバム】
・Sweet Refrain:Perfume The Best "P Cubed"
・Sweet Refrain (Album-mix):COSMIC EXPLORER

前作「Magic of Love」から6ヶ月ぶり、『LEVEL3』から1ヶ月ぶりの19thシングル。アルバムリリース後、最初のシングルとしては、2021年現在最もインターバルの短いシングル。
「Sweet Refrain」は、ドラマ「都市伝説の女 Part2」主題歌として書き下ろされた楽曲で、エンディングでは主演の長澤まさみPerfumeが一緒に踊るというシーンもありました。ビートの効いた明るい楽曲ではあるのですが、発売当時で既に25歳になる年というのもあり、MVやジャケットでも大人っぽいメイクや衣装でしたし、楽曲のほうも「キミと前の人のことが気になって眠れないわ」などドキッとするフレーズがあったり。個人的にもかなり好きな楽曲なんですが、タイアップの都合かアルバム『LEVEL3』から1ヶ月でリリースされたということもあり、『LEVEL3』ツアーでも披露されず、その後もフルで披露されたことは恐らくワンマンライブでは一度もない、というシングル曲とは思えない不遇な扱いを受け続けていることでファンの間では有名な一曲…。披露されたとしてもメドレーの中の一曲という扱い…。後奏で16ビートっぽくなる展開や、ダブステップを取り入れたBメロなど、聴きどころは結構たくさんある。いつかライブでフルで聴きたい…。
c/wの「恋は前傾姿勢」はアルバム未収録曲。エレピの音色がただただひたすら心地よいミディアムチューン。エレピの音色のせいか『JPN』収録の「Have a Stroll」を思い出しますが、こちらのほうが落ち着いた雰囲気。というか年齢も考慮してか、こちらも恐らく歌詞に出てくる「キミ」は主人公よりも年下。曲調も歌詞もキャピキャピした感じが一切なく、大人の女性を思わせる仕上がりですが、冷静に考えるとなかなか強烈なタイトル通り、弱気な自分を鼓舞する主人公が可愛らしい。歌詞もですが、曲もすごくいいんですよね。「ぐるんぐるん」ツアーでA面を差し置いて何故か披露された楽曲なのですが、マイクスタンドを使ったパフォーマンスには「マカロニ」を彷彿とさせられました。アルバム未収録なのがもったいない隠れた名曲。『LEVEL3』のレコーディング時には既に完成していたそうですが、結局収録されず、音源化されたものは全く別物なのだそう。確かにこれはバッキバキな『LEVEL3』の中では浮きそうですし、元々どんなアレンジだったのかかなり気になる。

(画像をクリックorタップで「Sweet Refrain」のMVが視聴できます)

 

2014年

Cling Cling (通常盤)(CDのみ)20thシングル「Cling Cling」
2014年7月16日発売

  1. Cling Cling [076]
  2. Hold Your Hand [077]
  3. DISPLAY [078]
  4. いじわるなハロー [079]
  5. Cling Cling -Original Instrumental-
  6. Hold Your Hand -Original Instrumental-
  7. DISPLAY -Original Instrumental-
  8. いじわるなハロー -Original Instrumental-
    (5~8は完全生産限定盤・初回限定盤のみ収録)

【収録アルバム】
・Cling Cling:Perfume The Best "P Cubed"
・Cling Cling (Album-mix):COSMIC EXPLORER
・Hold Your Hand:COSMIC EXPLORERPerfume The Best "P Cubed"
・DISPLAY:Perfume The Best "P Cubed"

前作「Sweet Refrain」から8ヶ月ぶりの20thシングル。
「Cling Cling」は、前年から担当していた「チョコラBB」CMソング。このシングルを引っさげて全国ツアー「ぐるんぐるん」を開催したのですが、アルバムではなくシングルで全国ツアーを開催したのは2021年現在それが最初で最後。で、「Cling Cling」なんですが…発売から7年経った今聴いてもなんとも掴み所がない曲というか…。発売当時も「くりんくりん」とか「るんるんるん」とか当時人気絶頂だったきゃりーぱみゅぱみゅ(言わずもがな同じ中田ヤスタカプロデュース)っぽいと散々言われてましたね。アジアンテイストな雰囲気の曲調で、系統としては「レーザービーム」に近い感じなのですが、ほんと歌詞の意味不明さと掴み所のなさが…個人的には印象の薄い一曲。音的には結構凝ってて好きなんですけどね…。ただ後に『COSMIC EXPLORER』で魔改造されることになりますw
c/wの「Hold Your Hand」は、NHKのドラマ「サイレント・プア」主題歌として発売前から先行配信されていたミディアムチューン。結構シリアスなドラマだったそうなのですが、主題歌くらいは救いを持たせようとしたのか、明るすぎず暗すぎずちょうどいい感じの曲。これは当時かなりハマった記憶があります。「絶対割れないキミのガラスの心を伝う涙色の振動に思わず声が出ちゃうよ」というサビの歌詞はヤスタカ史上でもかなり秀逸なフレーズだと思う。ライブでは間奏で一緒にじゃんけんを取り入れた振り付けをするのが恒例でしたが、例に漏れずこれも「ぐるんぐるん」ツアー以降、一度もやっていない、はず。せっかく一緒に練習したのにもったいないですよ、Perfumeさん!
「DISPLAY」は、パナソニックの「4K VIERA」とのコラボレーションした楽曲。元々アルバム未収録曲でしたが、「Hold Your Hand」(『COSMIC EXPLORER』にも収録)とともに『Perfume The Best "P Cubed"』でアルバム初収録されました。ほとんど歌詞がないという点では「Butterfly」に近いテイストなのですが、こちらのほうがキャッチーな感じ。振り付けもカッコいいし、もっとライブでやってほしかったのですが、「ぐるんぐるん」ツアー以降、これもやってない…はず。こういう埋もれた楽曲を再発掘するようなツアーをやってほしい…。
「いじわるなハロー」はアルバム未収録曲。「DISPLAY」から間髪入れず始まるのが最高。こちらはもうひたっすらにブリブリに可愛らしい一曲。発売当時は「これこれ!こういうのを待ってた!」と歓喜した記憶。カッコよさと可愛さを兼ね備えたこの感じはPerfumeならではですよね。今改めて聴くと「DISPLAY」のほうが好きなのですが…。間奏では後の「FLASH」にも繋がるようなカンフーを思わせるダンスを披露したり、この曲も振り付けがとにかくカッコいいのですが、これもやはり「ぐるんぐるん」ツアーを最後に…。もったいないですほんと。これは余談ですが、サビで鳴っている「カンカン」という金属音っぽい音が一度気づくとずーっと気になってしまう。どういう意図で入れたんだヤスタカ。

(画像をクリックorタップで「Cling Cling」「Hold Your Hand」「DISPLAY」のMVが視聴できます)

 

2015年

Relax In The City / Pick Me Up21stシングル「Relax In The City / Pick Me Up」
2015年4月29日発売

  1. Relax In The City [080]
  2. Pick Me Up [081]
  3. 透明人間 [082]
  4. Relax In The City -Original Instrumental-
  5. Pick Me Up -Original Instrumental-
  6. 透明人間 -Original Instrumental-
    (4~6は完全生産限定盤・初回限定盤のみ収録)

【収録アルバム】
・Relax In The City/Pick Me Up:COSMIC EXPLORERPerfume The Best "P Cubed"

前作「Cling Cling」から9ヶ月ぶりの21stシングル。
「Relax In The City」は、サッポロビール「グリーンアロマ」CMソング。コンセプト通り、肩の力の抜けた落ち着いたミディアムチューンに仕上がっています。結成15周年、メジャーデビュー10周年の第1弾シングルとしては両A面の1曲とはいえ地味だったかなぁという気はしますが、個人的には結構好きな一曲。どこか「スパイス」を思い出す雰囲気があって、とにかくこれはPerfumeでしか聴けない曲だよなぁと。3人の声、特にユニゾンになった時の声ってほんと良いんですよね。実はPerfumeの一番の良さって声なんじゃないかっていうのはここ数年ですごく思ってて。それを堪能できる一曲です。意外と結構音も凝ってるし、この曲あたりから「あれ?Perfume最近だんだん良くなってきてない?」と再評価の熱が高まり始めた気がします。沖縄で撮影されたMVも珍しく一切ダンスシーンがないのですが、これがまたタイトル通りリラックスした3人の表情が見れて最高です。
もう片方のA面「Pick Me Up」は、伊勢丹新宿店とコラボレーションした楽曲。こちらは打って変わってとにかく出だしから攻撃的な一曲。個人的にはコテコテのEDM感を押し出しすぎてて、発売当時はうーん…といった印象だったのですが、6年経った今では一周回ってこれはこれでアリかな!と思えるようになりました。「チョコレイト・ディスコ」以来の「ダンスフロア」というフレーズが出てきたり、とにかく踊らせようというヤスタカの狙いが伝わってくる一曲です。1番のAメロのアコギの音色にどこかcapsuleの「Sugarless GiRL」っぽさを感じます。
c/wの「透明人間」は、「チョコラBB」CMソング。こちらもEDM仕様でフロアライクな音作りが印象的な楽曲なのですが、「同じ照明を浴びたいのに」など、スポットライトを浴びることなく、日の目を見れずにいる主人公を歌った、どこか物悲しい雰囲気を感じる一曲。楽曲自体もアルバム未収録曲である上に、未だにフルで披露されたことがなく、まさに「透明人間」な存在の楽曲…。いい曲なんですけどね…。ほんとこういう埋もれた楽曲をいつか救済してあげてください…。

(画像をクリックorタップで「Relax In The City」「Pick Me Up」のMVが視聴できます)

 

STAR TRAIN22ndシングル「STAR TRAIN」
2015年10月28日発売

  1. STAR TRAIN [083]
  2. TOKIMEKI LIGHTS [084]
  3. イミテーションワールド [085]
  4. STAR TRAIN -Original Instrumental-
  5. TOKIMEKI LIGHTS -Original Instrumental-
  6. イミテーションワールド -Original Instrumental-
    (3~6は初回限定盤のみ収録)

【収録アルバム】
・STAR TRAIN:Perfume The Best "P Cubed"
・STAR TRAIN (Album-mix)/TOKIMEKI LIGHTS (Album-mix):COSMIC EXPLORER

前作「Relax In The City / Pick Me Up」から6ヶ月ぶりの22ndシングル。
「STAR TRAIN」は、自身初のドキュメンタリー映画「WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」主題歌で、結成15周年というアニバーサリーイヤーを締めくくるに相応しい壮大なバラード。発売当時はシングル曲でここまでメロウな楽曲を出してくるのか!と衝撃を受けた記憶があります。あ~ちゃんとかしゆかのソロパートを経て1番のサビ、2番でのっちのソロパートという構成は、元々あ~ちゃん・かしゆか・かわゆかという3人だったのが、かわゆかが抜けてのっちを誘って現在の3人になった経緯を踏まえているようで感動的ですらあります。そして3人がそれぞれ歌う歌詞が本当に3人らしくて、「あぁやっぱりヤスタカ、Perfumeのこと大好きなんだな」と思いましたね、これはもう完全に。15周年記念イベント「Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP『LIVE 3:5:6:9』」では、ライブの最後にセンターステージで3人が向かい合って歌いながら、ステージがせり上がり、そこに過去の映像(「チョコラBB」のエーザイが制作した15周年記念TV-SPOT)が流れるという演出に涙腺崩壊させられました。あれは本当にやばかった。
c/wの「TOKIMEKI LIGHTS」は、2021年現在最後の「チョコラBB」CMソング。寝起きでダル重~な3人が「チョコラBB」を飲んでスッキリ!なCMだったり、「爽やかな朝を迎えて」というAメロの歌い出しもあって、Perfumeでは珍しく?朝なイメージの強い一曲。Album-mixとしてアルバムに収録されてはいるものの、結構隠れた名曲だよなぁと。このクオリティの曲がA面以外にも多数存在するっていうのがすごいよなぁ。このあたりになるともうテクノポップだのJ-POPだのそういった範疇を飛び越えて、Perfumeというジャンルを完全に確立したなという印象すら覚えます。ただこの曲に関してはボーカルのエフェクトが比較的薄めなのもあって、普通に朝ドラとか朝の情報番組とかそういうので使われてもおかしくないような雰囲気がありますね。
「イミテーションワールド」は、結成15周年のアニバーサリーイヤーということもあって、初回限定盤のみに収録された、2008年頃までライブで頻繁に披露されていた楽曲の再録バージョン。これに関しては…まぁ…告知時点で「中田ヤスタカが新たにアレンジし直した」というような記述があったので、予想はしていましたが、やはり原曲は超えられてないなというか…。確かに待望の音源化ではあったんですよ。でもそっか、そりゃそうだよね、あのヤスタカが当時の音源そのままで出してくる訳ないよね…と。いつか当時ライブで披露していたあのバージョンを音源化してください…。そして願わくば一緒に「ションションメドレー」として披露されていた「カウンターアトラクション」も…。(発売当時は「カウンターアトラクション」も次のシングルでCD化されるんだろうなーと思ってましたが、結局されなかった)

(画像をクリックorタップで「STAR TRAIN」のMV、「イミテーションワールド」~「カウンターアトラクション」のライブ映像が視聴できます)

 

2016年

COSMIC EXPLORER6thアルバム「COSMIC EXPLORER
2016年4月6日発売

  1. Navigate [087]
  2. Cosmic Explorer [088]
  3. Miracle Worker [089]
  4. Next Stage with YOU [090]
  5. STORY [091]
  6. FLASH (Album-mix)
  7. Sweet Refrain (Album-mix)
  8. Baby Face [092]
  9. TOKIMEKI LIGHTS (Album-mix)
  10. STAR TRAIN (Album-mix)
  11. Relax In The City
  12. Pick Me Up
  13. Cling Cling (Album-mix)
  14. Hold Your Hand
    -DISC 2- (初回限定盤A・Bのみ)
  1. FLASH [086]
  2. FLASH -Original Instrumental-
  3. Perfumeのただただラジオが好きだからレイディオ! 2

【収録アルバム】
・STORY/FLASHPerfume The Best "P Cubed"

前作『LEVEL3』から2年6ヶ月ぶりの6thアルバム。前作からのインターバルとしては2021年現在、最長期間を経てリリースされたアルバム。次点が次作『Future Pop』の2年4ヶ月ですが、これを書いている2021年3月時点で既に『Future Pop』から2年7ヶ月が経過しているので次作で更新されることは確定。アメリカの音楽誌「ローリング・ストーン」にて「2016年ベスト・ポップ・アルバムTOP20」16位に選出されたことでも話題となりました。

#1「Navigate」は、『⊿』の「Take off」や、『JPN』の「The Opening」と同じく、1分程度の小曲。アルバム本編への導入曲。アルバム名通り、宇宙を感じさせる壮大さと、例えるならロケット発射前のような緊張感があります。

そして、その空気感をそのままに、#2「Cosmic Explorer」へ。小曲を除くアルバム1曲目としては他のどの曲よりもBPMが遅く、重厚な雰囲気を漂わせる楽曲。この時点で既に「LEVEL3」をとっくに飛び越えて、次のステージに突入しているのだなというのを感じたものです。2018年にリリースされたシングル「If you wanna」がサビの存在しない楽曲としてファンの間で賛否両論を巻き起こしましたが、実はこの曲で既に同じことをやってるんですよね…。ツアーでは紅白での小林幸子ばりのラスボス感を漂わせながらそろりそろりとステージごと移動する様が圧倒的でした。

#3「Miracle Worker」は、前曲の重厚さを引き継ぎつつ、一気に開放的な空気に一変させる清涼剤のような一曲。3人はツアーのセットリストに元々入れるつもりがなかったという話を聞いた時は唖然としましたね…w Aviciiかな?ってくらいEDMテイストを盛り込んだ楽曲で、これもサビが存在しない楽曲。盛り上がれる一曲ではあるのですが、どこか物憂げな雰囲気を感じる部分もあって、アルバムの中だけに留めておくのはもったいない隠れた名曲だと思います。

#4「Next Stage with YOU」は、メルセデス・ベンツのCMソングに起用された爽やかなポップチューン。CMでサビの部分だけ聴いた時は正直凡庸な印象を受けたのですが、フルで聴くと一変、これは逆にサビしか存在せず、他はずっとハミングと間奏のみという…。イントロで珍しく小気味よいギターの音色が入っていたり、どこかフュージョンっぽさを感じたり。バンドで演奏しても違和感なさそう。CMにちなんでかハンドルを操作するような振り付けもあったり…ってそれ「コンピューター ドライビング」(2005年発表)でもやってたやーん!なんて。

#5「STORY」は、2015年に行われた世界最大級の音楽フェス「SXSW 2015」1曲目として初披露された楽曲。未発表曲を1曲目に持ってくるという時点で並々ならぬ意気込みを感じますが、まさにこの曲はもう完全に覚醒モード。とにかく攻撃的かつ暴力的な音の波に飲み込まれそうになります。低音の威力が物凄くてライブで聴くと内臓まで震えるほどでした。曲中に3人が歌っている「441375416549154」というのはメロディの音階を数字にしたもの。この曲はPerfume史上最もオラついた楽曲だと思いますw

#6「FLASH (Album-mix)」は、「STORY」から間髪入れず始まるものの、ゆっくりとフェードインするイントロが印象的かつ荘厳な雰囲気すら感じさせる一曲。アルバムリリース前に先行配信された、映画「ちはやふる」主題歌としてヒットした楽曲のアルバムバージョンなのですが、オリジナルバージョンはこのアルバムでは初回限定盤の特典CDにしか収録されていないという、なんとも不思議な売り方をしていた楽曲…。今となってはストリーミング全盛の時代なので分かるのですが…ある意味先駆けだった?「レーザービーム」や「Spring of Life」などのAlbum-mixとは異なり、この曲のAlbum-mixはライブでほとんど披露されることがなかったというある意味不遇な楽曲。アルバムの雰囲気には合っているのですが、オリジナルと比べてもどうしても地味なんですよね…。これはこれでいいのですが…。

#7「Sweet Refrain (Album-mix)」は、2013年11月リリースという、アルバム中最古の楽曲のアルバムバージョン。原曲よりも低音やビートが重視され、より踊れるミックスになっています。個人的には原曲のいい意味で軽い感じが好きだったので、これはちょっと違うかなぁと…。ていうか結局Album-mixにアレンジされてもツアーで披露されてませんしね…。ほんと「Sweet Refrain」の不遇さはあまりにも気の毒すぎます…。

#8「Baby Face」は、アルバム中最後の新録曲。音数少なめで肩の力の抜けた感じのミディアムチューン。これも「恋は前傾姿勢」と同じで、というかこれに関してはもう完全に年下の男の子との恋愛を歌った楽曲ですね。海外ツアーでは歌詞を英語に変えたバージョンで披露していたりもしました。確かに洋楽っぽい雰囲気あるかもなあ。突出している訳ではないけれど、アルバム曲ならではの佳曲といった感じ。

#9「TOKIMEKI LIGHTS (Album-mix)」。ここから#14まで既発曲オンリー。この前半ほぼ新曲、後半ほぼ既発曲という構成は当時からうーん…という感じなのですが…。#5までの重厚な雰囲気と剥離しすぎな感じがしないでもないんですよねえ。で、#9に関しては原曲と特に印象は変わらないのですが、こちらは歌いだしのサビ終わりで一気に盛り上がるライブ仕様の仕上がりになっています。このアルバムのAlbum-mixは全体的にどれも低音が強調されたものが多いですね。個人的にはだったら「透明人間」も入れてほしかったなぁ…とも思ったり…。全曲英語タイトルのこのアルバムの中では浮いてしまうけど。

#10「STAR TRAIN (Album-mix)」。これに関しては完全に「3:5:6:9」でのパフォーマンスを見てリミックスしただろヤスタカ、と思ってしまわざるを得ませんw 『⊿』の「願い (Album-mix)」を、元々アルバムに収録する予定がなかったのに、代々木ライブを見て感動のあまりリミックスし、収録にこじつけたというエピソードもあるので…。ボーカル含め全体的にエコーがかった音作りは完全にライブを意識しているとしか。和太鼓のような音色から始まるイントロ以外は、全体的にほとんど原曲通り。これも正直原曲のほうがいいかなぁ。ライブ会場で聴いているかのような臨場感を味わえるのがポイント。だったら後奏のリフレインを引き伸ばしてくれればよかったのになーと思ってしまうw

#11「Relax In The City」。前曲からのつながりが若干唐突に思えるものの、原曲そのままで収録しているあたりヤスタカ的にいじりようがなかった…のかも。アルバムの雰囲気的にはかなり剥離しているような気がするので、思い切って収録しないのも一つの手だったような気もしますが、その辺の整合性を取るために「Baby Face」を入れたのかなーと考えるとまぁ…。曲自体は気に入っているのですが、このアルバムは前半と後半で空気が違いすぎてそこがやっぱり残念に思ってしまう…。発売当時も最高傑作!と手放しに評価できなかったのは、『GAME』の決して統一感があるとは言えない楽曲群ながらも、自然な流れを構築していた曲順の完璧さがあったからなんですよね。

#12「Pick Me Up」。曲順もシングル通りで、アレンジも一緒ということで特筆すべきことは何も…。恐らく前半の流れがなければ、従来ならば序盤に配置されていたであろうタイプの曲。それがこの終盤に配置されているという時点で、ある意味このアルバムは過渡期の作品とも言えるのかなと。3rdアルバム『⊿』もそうでしたが、あれはその後の路線を模索しつつあった状態での「過渡期」であれば、これは進化の過程における「過渡期」というか。それはやはりアルバム発売までにシングルを5曲(「FLASHも含めれば6曲)も発表しているというのが原因のひとつかなと…。やっぱりPerfumeにはそろそろ全曲未発表曲のアルバムを出してほしい、と思います。

#13「Cling Cling (Album-mix)」。出ました、魔改造ミックス。Perfumeにおける「Album-mix」で一番原曲から様変わりした楽曲ではないかと。どこか掴み所のない雰囲気があった原曲から一変、完全に覚醒しきったライブ仕様として生まれ変わっていて、これはヤスタカにしては珍しく原曲超えしているリミックスだと思います。特にツアーで「Pick Me Up」からノンストップで披露された際の繋ぎは本当にすごかった。あれは本当に魔改造と呼ぶしかない変わり様でしたねw

#14「Hold Your Hand」。アルバムラストが新曲やAlbum-mixではない既発曲というのは『JPN』の「スパイス」に続き2度目だったのですが、『JPN』が新曲4曲含む全14曲という半ベスト状態のアルバムだったのに対し、今作はせっかく壮大かつ重厚な作風を打ち出してきたのにラストがこれかぁ…と当時から思ったものです。この曲自体は嫌いではないのですが…。まぁ他の収録曲群を見る限り、ラストはこれしかないなとは思うのですが、如何せん曲調の割に余韻もほとんどないあっさりとしたラストなので…うーん…という印象はやはり5年経った今も変わりませんね。

初回限定盤A・Bのみ付属の特典CD収録「FLASH」は、前述の通り映画「ちはやふる」主題歌としてスマッシュヒットを記録した楽曲。後に、続編となる「ちはやふる -結び-」主題歌となったシングル「無限未来」の「ちはやふる盤」にc/wとして収録されたほか、ベスト盤『Perfume The Best "P Cubed"』にも収録されましたが、当時はCDとしてはこの初回盤特典CDでしか聴けませんでした。まぁなんというかこの曲に関してはヤスタカの本領発揮というか、さすが仕事をきっちりこなす人って感じの一曲ですね…。クライアント先の要望にしっかり応えるというか、この曲に関してはもう非の打ち所がないです。当時配信のみのリリースだったのがもったいないほど。シングルでリリースしてたらそこそこヒットしていたのでは?この『COSMIC EXPLORER』にMVの制作されたリード曲が存在しないのも「FLASH」を妙な売り方をしたせいな気がします…。「FLASH」がきっとそうなのでしょうが、だとしたらAlbum-mixで収録したのは失敗だったんじゃないかと。まぁ原曲だとフックが強すぎてアルバムから浮くのは想像できますが…。

結成15周年、メジャーデビュー10周年を経てリリースされた5thアルバム『COSMIC EXPLORER』。世界進出を果たし、人気・知名度ともに世界規模になっていったのと同時に、宇宙をテーマに打ち出したアルバムを出してくるあたり、『LEVEL3』を更に凌駕する「攻め」の姿勢を感じるのですが、やはりツアーのために制作された前作とは違い、それまでにリリースしたシングル曲をすべて収録する(ほとんどAlbum-mixとしてリミックスはしていますが)という、J-POP業界の慣例を踏襲した結果、前半と後半で雰囲気がガラリと変わるという、邦楽のアルバムによくあるタイプの状態になってしまっているのが残念な感じがしてしまいます。収録曲群自体は円熟味を帯びてきて、アイドルよりもアーティストというパブリックイメージが定着されてきた時期ならではの楽曲が増えてきているのですが、やはり文中でも書いた通り、この時点までとこの時点以降のPerfumeがミックスされた「過渡期」のアルバムなのかなといった印象がしてしまいました。Perfumeのアルバム史上、「Album-mix」が最も多いのもそれを表しているような気がします。これを経てリリースされる次作『Future Pop』に「Album-mix」が1曲もないのもそういうことかなと。半ベスト状態だった『JPN』と、バッキバキなPerfumeが楽しめた『LEVEL3』を足して2で割ったようなアルバム。やはりそろそろ全曲未発表曲のアルバムを出してみるのもアリかなと思います。4曲収録のシングル「Cling Cling」がリリースできたのなら、ミニアルバムでもいいから是非…!

(画像をクリックorタップで「FLASH」のMVと、「STORY」のライブ映像が視聴できます)