大森靖子『クソカワPARTY』特典ライブCD収録「PINK」中盤の語りを書き起こしてみた。
大森靖子が2018年7月に発売したアルバム『クソカワPARTY』2CD+DVD盤には「超歌手大森靖子 MUTEKI弾語りツアー ファイナル」の模様を収めたライブCDが付属しています。（CD+Blu-ray盤には同公演のライブBlu-rayが付属）
その中の楽曲「PINK」の曲中、元からある語りの部分が途中からCDとは全く別の、本当の意味での「語り」に入る部分があります。そこがすごく印象的で、聴く度にすごく胸に響くので書き起こししてみました。
23年も生きとんやけんわかっとって当たり前やって言われました
目の前のこと 原発のこと 戦争のこと 音楽のこと*1
なんもわかっとらんのに歌っとんの馬鹿やないって言われました
ポップ パンク ロックンロール ポップ パンク ロックンロール
ただ ただわたしはわんわん泣きたかった吠えたかった歌いたかった
わたしはわたしはあんたのかわいい呪いを冷静な愛でぶち殺すように*2
歌いたかった
馴れ合う 突き放す 解き放つ
馴れ合う 突き放す 解き放つ
馴れ合う 突き放す 解き放つ
馴れ合う 突き放す 解き放つ
心底 心底 心底 心底不甲斐なくてやるせなくて
それでも幸せな時間を過ごす
それを何度も繰り返す
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
何度も
何度も
何度も（ここまでがCD通り、ここからがこの時だけの語り）
繰り返せば繰り返すほど
繰り返せば繰り返すほど
伝わらなさが募っていって
伝わることと伝わらないことと
伝われば伝わるほど伝わらない人間が増えていって
有名になれば有名になるほど本当に孤独になるし
あの…「見返すために有名になりたい」っていうのを最近すごいよく聞くんですよ
アイドルの人とかから
なんないほうがいいですね、本当に
なんないほうがいいです、馬鹿だから本当に
馬鹿にする人が増えるので
私は何を馬鹿にされても別に構わないですけど
私の心とか、私の作品とか、私の芸術とか、私が作り出したコンセプトとか
そういうものをパクられたり、馬鹿にされたら怒ります、とっても怒ります
本当に悲しいです
そういうものを守る法律はありません
著作権とかそういう問題じゃないんだ、そういうのは
そういうものを守れる人は、守れるのは私だけです
「わたしみ」という曲を書きました、去年書きました
「私の大切を守れるのは私だけ」という歌詞を書きました
AKB総選挙のりりぽんの結婚しますという宣言を見て書きました
こんなにカッコいいことをしているのになんで叩かれなきゃいけないんだろうと思って書きました
誰も追いつけない気持ちは誰よりも尊い気持ちです
捨ててはいけないものを自分で自分なりのやり方で守っている人はすごくカッコいいです
私は…私はそういう風にしかやっていけないし…
大切なものは大切だってどんなにそれが世間的に倫理的に間違いであってもしょうがないんです、大切だから
私は音楽が一番大切です
今日は魔法を使いに来ました、魔法陣を描いて下さいって青柳（カヲル）に言いました
描いてもらいました
沢山の楽譜のない譜面台を置きました
何を奏でようかなと、誰に会おうかなと、誰に会えるのかなと思ってここに来ました
その一つ一つの奇跡が、あなた達が選んでくれた洋服が、ご飯が、ライブが、もっともっとちっちゃいものが、乗り換えの電車が、靴が、一歩一歩が、歩幅が、すべてが本当に愛おしいです
そのすべてに意味があります
他のどんなものを粗末にされるよりもそれに一番意味があります
そこをあなたが選んだということの組み合わせが今なので
あなた達が生きてきたすべてが本当に尊いです
私がそれを証明しに来ました、私はそのために音楽をやっています
魔法は…使えます、私は使えます、天才なんで
私はずっとギターを下手だと言われるように生きていこうと思って、やっていこうと思ってました
誰でもやれるよって思ってほしいから
なんかやりたいって思った人がギターを手にとってくれる…
私はギターがすごい好きです、ピアノも好きです
でもピアノはちょっとコンプレックスがあるのでギターのほうが好きです
で、あの…ギターを誰でもできるよって、なんかやりたいって思った時に誰でもできるよって思ってほしくて
わざと直情的に弾いているように見えるように弾いていました
あの、ですけど…あの、まあ言いますけど…
これは…私にしかできないと思います
このライブは私にしかできないと思うし
自分で言うのもなんですが、弾き語りでこれだけの公演をこれだけ魅せられるのは私しかいないと思います
全然…全然もっと大きい規模だろうが、小さい規模だろうが、何人だろうが、
一人一人と向き合ってちゃんと歌えるのは…自分しかいないと思います
「POSITIVE STRESS」という曲を小室哲哉さんにもらいました
今日は弾いたことなかったんですが、演奏してみました
小室さんは「私は私よ」という歌詞が僕だと絶対に出てこないって言いました
いや…なんにも考えずに書いた…と思って、そこはなんにも考えずに出てきた…と思って
他のところは小室さんの曲だからちょっと肩を…なんか緊張感あって書いたけど
そこはなんにも考えずに書いたとこだなと思ってなんかすごい嬉しかったです
私は私だし、あなたはあなただし、
頑張れない時はあなたは私でも構わないし、
私も頑張れない時にあなたになりたいと思うので力を貸して下さい。
そうやって追いかけっこで成長していけたらなって本当に思っています。
これからもよろしくお願いします。最後の曲です。
（「魔法が使えないなら」を歌い始める）
